「獺祭等外」の新製品を出します。「獺祭等外23」です。この名前からわかるように、山田錦の等外米を23%まで磨いて造りました。

一昨年から等外米を使って35%まで精米した酒を「獺祭等外」として造っていましたが、それにはこんな思いが詰まっていました。

酒税法上で言えば等級米で造ったものしか純米酒とか大吟醸とか、いわゆる売るためには重宝なお墨付きを表示基準上認められません。そのため、今まで一般的に各酒蔵(弊社も含めて)は等級米しか購入しませんでした。「うちで使っているのはどこそこ産の特等米だけです」なんていろいろな蔵元の話をお聞きになった方も多いのでは。しかしその結果として、そのしわ寄せが農家に行き、農家は等級検査に通らなかった米はくず米として処分するしかありませんでした。その米がいつの間にか誰かにより袋が入替えられて普通の山田錦になっているとか、変な話が多かったのもこの等外米周辺です。

で、それなら、公然と表に出して等外米を購入させていただいて、ズバリ名称も「獺祭等外」として純米大吟醸表示なんか気にせず普通酒として売ればいいじゃないか、ということで出したお酒でした。

アドレスは発売時の蔵元日記です。

ところができたお酒は狙った以上にモノが良くて、私たち自身がびっくりしたぐらいです。等外米使用酒特有の性質として、瓶詰め後時間が経過しますと落ちは早いんですが、瓶詰め後早いうちは、「流石35%まで磨いて造った酒だなぁ」と感心するような、吟醸香もきれいに見えて繊細な良い酒です。「これで二割三分まで磨いたらどんな酒になるんだろう?」酒蔵の主人としては当然考えました。

そんなこともある上に、実は今年、等外米の購入量が多すぎて、計画以上の入荷になっています。背景には「獺祭に持っていけば等外米を買ってくれる」という情報が農家に行き渡りすぎて、一等二等の山田錦は余所に出しているところまで等外米は獺祭に持ってきた、というところも無きにしも非ず。それを気前よく、うちの購入担当 がどんどん受け入れてしまったという背景もあります。

酒蔵といえどもビジネスですから、あんまり気前のいいことをしていると倒産してしまいます。そのあたりは「ええ加減にしろよ」と仕入れ担当者にはちょっと一言。でもすでに買っちゃったのが、総 数13000俵。結構、堪える数字ですね。「どないするんや」という質問に対して、「今年はできるだけこの米を消化するため多く獺祭等外を造って、来年は等外米を買いません」と製造部からの返事。さ らにカリカリ来て、「何考えとんのや」「等外米を買い始めた当初の気持ちを忘れたんか」「農家に何という」「うちには意地がないのか」なんてやり取りというか私の一方的文句がありまして、とはいえ現実に13000俵。しかも調べてみると青米なんかも昨年と比べて多い、明らかに等外米としてもルール違反の様な米も今年は多々ありました。

そんなひどい等外米を使ってもちゃんと美味しいものに「意地でも」 仕上げなくっちゃ。前回の蔵元日記の米粉と酒粕にも通じる「獺祭の意志」です。「こんなこと考えずに、世の流れに身を任せていればリスクもないのに」なんて声も聞こえてきそうですが、病気なん です。

ということで、まず、全体に昨年と比べると程度の落ちる山田錦等外をどうするか?

ふるえばいいじゃないか。つまり再選抜して粒をそろえればいい。 青米だって色彩選別機にかけてふるい落とせばいい。実際、「その先へ」や「磨き二割三分」の麹用の山田錦なんかは特上の山田錦を篩(ふるい)をかけることによりさらに選り抜きにしています。同じことをやればいい。

ということで、ふるってみました。中には4割以上ふるい落とされてしまうロットの等外米も。でも、なんとかなる。やってみたら、なんとか三等米程度にはなりそうです。これならいける。

「米は実際余って困るほどあるんだから、これで二割三分まで磨いて造ってみよう」「もちろん等外米だから正規の純米大吟醸表示にはならないけど、大方の純米大吟醸には互角の勝負を挑めるんじゃないの」そんな経緯が社内でありまして、今回の「獺祭等外23」の発売になったわけです。

落ちが速い等外米という特性も考慮して、生酒で出します。なるべく一か月以内には飲んでいただきたいわけですから。

[品名]     獺祭等外23
[種別]     普通酒生酒(等外米使用ですから当然)
[使用米]    山田錦等外米
[精米歩合]   23%
[容量]     720ml
[希望小売価格] 2300円(税別)

ただ、残念ながら、プレミアム市場の格好の獲物になりそうですか ら、当初は飲食店さん中心にお出しします。獺祭に理解のある既存取扱店が中心になるのではと思いますが、メニューで見つけられたり、店頭で見つけられましたら、是非飲んでみてやってください。 なかなか通常の「磨き二割三分」のレベルと互角とはいきませんが、それでも高精白の山田錦を使った酒に特有の繊細さと山田錦特有の丸みを帯びた味も見えると思います。