先日の熊本の地震、大変な被害でした。弊社の取引先にも熊本県内のお店が何店か。被害が伝えられた熊本の得意先三店へお見舞いに行きました。博多までは新幹線で、そこから先はT君に拾ってもらってレンタカーで熊本市内へ。

三店とも、商品は全損ですし、建物にも軽微ですが影響はあるようです。でも、幸いにも人的被害はなくてお元気そうでした。気が張っているから、不謹慎ですが、きらきら目が輝いてみんな「男前」。もちろん、女性も何人かいらっしゃるわけですが、この場合「男前」というのがその場の皆さんの印象だったので。

水もガスも届いていないと聞いていましたので、途中のコンビニで売り場の棚にあるだけのパンを購入。いらなけりゃ、お客様や近所の方に配っていただけばいいんですから。

レジに持っていくと、店員のお兄さんがこれもどうぞと片言でおしぼりの束を箱ごと差し出してくれました。名札を見ると中国人の方。うれしいなぁ。「倭奸はいい気味だ」なんて本国のネットの書き込みがあったりするようですが、どっこい個人レベルじゃ泣かせる人がいます。

途中までしか行けない高速に乗ると自衛隊車両の長蛇の列。「ご 苦労様です」「よろしくお願いします」思わず心の中で手を合わします。見回すと、周囲にも熊本へ食料や水などを届けようと向かう車も見受けられます。

ふと、走行車線を相当低速で走っている軽自動車を見ると、後ろも見えないほど荷物を積み込んで30代ぐらいの女性の二人連れでしょうか、おそらく熊本に向かっている。思わずぐっと来て涙腺が緩みそうになりました。

「できるだけのことを熊本の皆さんにお手伝いしたい」と思う一日でした。そして、地震は地震、被害は被害ですから、ただ「大変だったねぇ」とみんなで暗くなっても仕方ない。できるだけの支援をするためにも、私たちが元気よく活動して経済を活発化させるのが一番。そのうえでそれを使ってできるだけの支援をしましょう。

ということで、こんなこともしました。笑ってやってください。 ここからが「蔵元日記」の本文です。

蔵元日記【甘い生活】

酒粕のブラマンジェとパイナップルのソルベ、同じく酒粕のアイスの入った米粉のクレープ、ホワイトチョコとライムジュレを絡めながら、もちろん上にかかった米粉チップが少し乗っかるように、注意深くパフェ用の深いグラスの底からスプーンを引き上げ て、口に運びます。うーん、マンダム・・・・・!?、じゃない、美味い!! (マンダムなんて歳がわかりますね)。それと同時にやりきった感。

それはね、本日12個目のパフェを試食し終えたタイミングだったんです。何で酒蔵日記にパフェが出てくるか、なんで12個も試食したか、というとお台場の国際展示場で開催されるパフェコンテ ストの審査員をしたんです。

それで、そもそもなんでこういうことになったか説明しますと、 最近よく話しているように獺祭は年間に6千トン以上の山田錦を使い、それから約4千トン分米ぬか部分を取り除き、さらに約1千トンの酒粕が出ます。「この米粉(米ぬか)と酒粕を社会に有効なものに使いたい」なんてことを話していたのですが、それに対し帝国ホテルのあの「現代の名工」望月ペストリー課長から「そりゃパフェに使うのが良いよ」「美味しいものがきっとできるよ」と意見をいただいて、あれよあれよと国際展示場で開かれるデザー ト・スイーツ&ドリンク展のメインステージで、獺祭の米粉と酒粕を使うパフェコンテスト2015を後援することになりました。

しかも、出場者を見てみるとリッツカールトン・プリンス・オー クラ・メトロポリタンエドモンドや有名レストラン・洋菓子店などキラ星のようなパティシェばかり。受賞歴なんて出場者資料に欄があって覗いてみると全日本クラスのコンテスト優勝者・入賞 者・アジア大会クラスの入賞者が過半。すごいんですよ。

審査委員長の加藤・全日本洋菓子工業会の理事長からは「今まで、洋菓子は欧米の発祥の物ですから、洋の原料しかなかった。でも 今回の酒粕と米粉は日本独自のものですから、今回初めて日本オ リジナルの原料を持てたわけです」「洋菓子の業界にとって酒粕という原料は初めての概念なんです。だから、一番トップから紹介していくって、とっても良いことですよ」

これ、審査員席で隣で聞いてるんですから、身震いするほどうれしい話ですね。感激しました。やってよかった。

決勝に残った12名の出場者のパフェを隣の審査員席の加藤理事長の指導を仰いで、「まずお客さんの気持ちになってね。上から食べるんですよ。そしてね、下に進んでいく。最後に一番底からすくって食べるんですよ。」とのお言葉通り、パフェを口に入れて評価しようとしました。

なるべく(一つ1000キロカロリーぐらいは有るそうですから)三口ぐらいで素人なりにパフェを評価しようとするんですが、それでも、隣から帝国ホテルの望月さんから、「これは美味いね」と か「ちょっとパサつくな」とか教えてもらうともう一口すくって確かめてみる。結果として一つの出品パフェから5~6口は食べるこ とに。

それが12個ですよ。最初はどうなることかと思っていたんですが、なんとか全部口に入れて、評価シートも提出して、ほっ。(最も私の審査は評価の基準にはなってないと、後から副審査委員長の望月さんの顔が物語っていましたけど)

それと後から考えてみると、みんなそんじょそこらのレストランのパフェが及びもつかない美味しさレベル。そのうえ、独創性とか芸術性まで審査項目に入ってるんですよ。わたくし、これまで、齢65年、初めて口にしたレベルのパフェです。幸せですね。

もちろん、帰って体重計に乗ってみると一年ぶりの67キロ越え。当たり前です、大体一つのパフェの四分の一を試食したとして、 250キロカロリー。その12倍。なんと、3000キロカロリーという計算になります。もちろん、その夜、打ち上げと称して某所でまた散々飲んで食べたんですから、これでこの程度で収まってるのが奇跡ですかね。(出っ張ったお腹をなでながらこの原稿を書いています。)