あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年も、色々、ことの多い一年でした。なんといっても大きかったのは、新設した充填ラインの不具合による品質劣化問題。何とか解決し、おかげさまで品質も新しいステージに到達したと思います。しかし、悩み模索している過程では「会長の品質に対する方向性がわからん」と社内では、散々、言われていたようです。当たり前です、原因の機材メーカーは国内有数のトップ企業です。しかもこの品質差異は、今現在の国内で最も信頼されて権威もある品質鑑定機関をもってしてもなかなか異常として感知していただけませんでした。ところが、「普通」のお客様には「何か美味しくないよね」とわかるものだったのです。

ずいぶん担当者や製造部門のスタッフを傷つけ、泣くような思いをさせながら、たどり着きました。ついてきてくれたみんなに感謝と敬意を伝えたいと思います。

とにかく、ことの多い酒蔵ですから、ここ最近だけ取ってみても、フランス・パリ店のグランドオープンの公表、床工事の不備によるオープン延期のお知らせ、「高く買わないでください」と初めての新聞広告、アメリカ・ニューヨーク郊外での酒蔵建設計画、と目白押しでした。

特に新聞広告は、掲載翌日までウェッブ上のトップニュースで上がり続けるなどすごい反響をいただきました。横流し業者から獺祭を仕入れて希望小売価格をはるかに超える高価格で売り場に並べているスーパーなどを見て、「なんであんなに高く買わなければいけないの」「古い酒が並んでいることが多いのに」「お客様は知らないんじゃないの」という個人的な思いから始まった広告ですが、この反響は広告代理店さん的に言えば、満塁ホームランのような評価でしょうね。

もちろん、それだけの反響をいただけば、石も飛んでくるわけでして・・・、メディアで人気の経済評論家からは「獺祭は確かに美味しいけど、あれは半分マーケティングで売れてきた会社でしょ。この広告、なんか怪しいのよね」とテレビでコメントを頂いたり、ネット上でも色々、ご意見を頂きました。まあ、評論家の方について言えばあまり私どものような存在を認める発言をすると、コメンテーターとして次のお仕事にもかかわるでしょうから、仕方ないですね。それと、こんな企業があるということがわからないのかもしれませんね。また、ネット上では例によって、獺祭は(のような存在は)とにかく「嫌い!!」というような人たちが一定数いますからね。これも仕方ありませんね。

しかし、ここで私が言いたいのはこうです。「獺祭は、優れたものが、正しいものが、努力したものが、認められる、そんな社会をストレートに信じている」 そういうことです。

そうでない人たちも一定数いるのは理解しています。大きくなったもの、成功したものは、何かやってるに違いない。そんな、裏側に注目する人たちを潜在顧客とする、というビジネスのやり方がある、というのも知っています。案外、このやり方はおいしいんですが。(獺祭がやりたいとは思わないですね)

にかく、獺祭は「巨人・大鵬・卵焼き」です(古いなあ)。今の世の中こんな肩肘を張って、主張や進む方向を明確にして生きることは流行らないかもしれませんが、今年も変わりません。今年もお付き合いよろしくお願いします。