この4月6日にやっと「獺祭バイジュエルロブション」が、パリのフォーブルサントノーレ184番地に、パンの小売ストア部門だけですがオープンしました。「えっ、パン?」と思われるかもしれませんが、この店はパンとスイーツの小売が一階にあり、中二階に獺祭バーとカフェと獺祭ストア、3階がレストランで、ここでロプションさんの考える獺祭に合うコース(アラカルトもあり)とともに獺祭が楽しめる、という構成になっています。

今、カフェとレストラン部門も内装は出来上がり、メニュー開発と、そして何より大事なことですが、各スタッフの知識や意識を獺祭とベクトルを合わせる、哲学を共有する、ということに追われています。

先日のスタッフとのミーティングもそんなことを中心に話しました。(次回その内容をお話しします)

私の話を受けて、日頃は個別に話すことはあっても全員の前で話すことはないといわれるロブションさんが20分にわたって、今回の思い・意義を話してくれました。日頃、全体の前では話さないロブションさんが熱く語る姿に出会って、みんなもびっくり顔でしたが、一気にボルテージも上がりました。やはりロブションのスタッフは、フレンチの神様であるロブションさんに傾倒して、神のように思って働いているんですから、そのロブションさんが目の前で語るという体験は皆にとってもとんでもない大きなものなんです。

私自身も、日頃、みんなの前で演説みたいには話さない彼がみんなの前でこんなに熱く語ってくれたことに、ただ感謝するとともに、ロブションさんの獺祭に対する愛情と心意気を感じました。ちょっとガッツポーズ

ちなみに、この日はパリのフィガロも取材に来ていて、「ジュエル・ロブション。日本との恋に狂った料理人」という見出しで何と一面に載せてくれました。(日本でも電子版であれば読めるはずです)

でも、海外に獺祭を輸出する、店を出す、ということはこういうことが大事なんですよね。お互いに文化風習が違う、歴史が違う人々が集まって、お互いの心をさらけ出し(当然ここまでにもずいぶん軋轢や誤解からくる摩擦もありました)、創り上げていく。

お金の面だけの投資効率や業績拡大なんかだけじゃなくて、こんなことこそ大事なことと考えています。

アメリカ・ニューヨークの酒蔵建設計画も、世界最大の料理学校にしてニューヨーク郊外に本校を置くCIAの食に対する理想や考えに共鳴し、また、彼らは私たちの酒に対する思いや哲学に共鳴し、彼らが声をかけてくれて始まったものです。ただのお金だけの事業として考えていたらやりませんよ。

ところで、オープンに合わせてパリ二泊の出張から帰ってきて羽田の国内線待合室でこの原稿を書いています。このまま山口の山奥の自宅まで帰宅し、明日夕方まで酒蔵にいて、また東京に移動して羽田発午前10時の便でこれも二泊のニューヨーク出張です。

今晩一晩、家でゆっくりできるんですが、先ほど気になる酒があると製造から聞いたので、その酒とそして前後の詰め口ロットの酒を自宅まで届けてくれるように製造の担当者にはお願いしました。本日は利き酒方々の夕食。明日は製造部長に日曜日ではありますが出社してもらって、その結果とともにミーティング。まあ、これが楽しいんですから仕方ないというか幸せな人生というか・・・。

もちろん、幸せです。

くだらない蛇足
先ほど店の住所がフォーブルサントノーレ184番地と言いましたが、今月は奇しくも2018年4月。つまり18年の4月。おじさん、ただ一人、喜ぶ!!。