本日配信致しましたメルマガvol.454にて、前回メルマガの内容が含まれておりましたのでお詫び申し上げます。本メルマガで再配信致します。

「おい、まだ自家発電の移転ができないの? ちゃんと申請しとんのか!?」。久しぶりに(「の筈は無い」と皆は言っております)社内で声を荒げました(「いつものことです」と皆は言っております)。(注)

実は、自前の土地に自家発電装置を4基設置したいのですが、その土地の造成開発許可が下りないのです。

私どもの酒蔵が昨年集中豪雨の被害にあったのは皆さんよくご存じと思います。その時、一部の発電機は蔵のそばにあって水没してしまい役に立たず、他の4基も2km離れた出荷センターにあり、当座の役に立ちませんでした。

あの時の被害の大半の原因は停電による酒蔵の空調が動かなくなったことですから、この自家発電装置がまともに動けば、被災そのものは仕方ないことですが、最悪の事態は免れることができたのです。いえば、どこやらの原発と同じような、間抜けな被害だったわけです。

その痛い経験を胸に、ここなら浸水被害はまずないだろうという土地を選定して、自家発電装置を移設することにしました。ところが造成の許可が下りないのです。

山間の谷あいにある酒蔵の周囲の土地はほとんど山林か農地。そうすると酒蔵の用地として使用するには宅地に地目を変更しなければいけません。これが手ごわいのです。前に話したこともあるかもしれませんが、酒蔵の1km離れたところに約一町の土地を個人名義で持っています。これが30年以上たった今も宅地に転用できず、仕方なく、その倍離れた場所の山を切り開いて出荷センターを建てました。今も、その土地は塩漬けのままです。

こんな話をしていると、「あんた、えらい政治家と仲が良いだろうから、そんな先生に頼んだら」とよく言われます。それをしないから獺祭はここまで来たのに。

とにかく、土地の転用許可が下りないのです。もちろん、彼らにも理屈はあります。農地転用許可をすでに受けている新瓶詰工場用地に、許可を出したにもかかわらず瓶詰工場の計画が止まっている。「それをちゃんと進めないと次の転用申請は受け付けない」という事のようです。

そうではないんでしょうが、外から受ける印象は、「旭酒造は儲けのためには何をやるか分からないから、よく足を縛っていなければいけない」みたいです。

何より、そういう事で被災から一年以上たったにもかかわらず、自家発電装置の移設の目途は立たず、すでに台風シーズンに突入していますが、何ともならないのです。おかしな話ですね。

(注) 最近の愛読書の一つ、「Think CIVILITY」副題「礼儀正しさこそ最強の生存戦略である」。帯にはこうあります。「一流のエリートほど、なぜ、不機嫌にならないのか? 職場の無礼さの研究、全米で話題の「礼節の科学」」、だそうです。

読書による進歩がない。しみじみ反省しています。(会社の者はみんな信じないだろうなあ)