20日にライブで映像配信しましたから、「また同じ話か」と思われる方も多いと思います。しつこいですが、ぜひ聞いてください。
今、全国で飲食店さんが休業などで苦境に陥っています。知った顔が何人も浮かんできます。ぜひ、この状況に耐えて、頑張ってほしい。多彩でリーズナブルな飲食店は日本が世界に誇る魅力の一つです。こんなとんでもない苦しい状況で、当事者でもない人間が無責任なことは言えませんが、心から飲食店の皆様の健闘をお祈りしています。
それと同時に、飲食店に肉・魚や野菜などを収めておられる生産者の方たちも売り先がなくなり苦境に陥っています。特に高品質のものほど飲食店比率が高く、日本の食の良心ともいえる生産者たちが困っているんです。
実は酒も一緒で、獺祭も苦戦中です。今回の問題は地球的規模ですから、国内だけでなく頼みの輸出も苦戦です。それは、まあ、私どもの問題ですから、私たち自身が耐えて頑張れば良いことですが、そこには使用する酒米の数量減という大きな問題が発生しています。コロナウイルスによる売り上げ減が自動的に引き起こす生産減少により、私たちが生き残る事と、山田錦を買い支える事が相反する関係になっているのです。
勿論このままで良いとは思っていませんから、売上を上げる努力もしておりますし、山田錦の等外を原料とする甘酒なども発売して、ちょっとでも山田錦の使用数量を増やす努力をしています。また、使用計画からすれば必要以上に買い支えています。最悪の予想だと、山田錦の在庫も常識外れの一年分になりそうです。ここは私どもの持てる力の全てを使って、農家と共にしのぐのみと思っています。
ところが、今月に入り、首都圏と大阪・兵庫・福岡だけだった緊急事態宣言も全国に広がり、逆風はまさに増すばかりです。
ただ、5年前の山田錦不足の時も経験したのですが、良い田圃というものは一度荒らしてしまうと元に戻りません。そして、この米余り・米離れの近年の情勢の中で山田錦の栽培に取り組んできた農家って本当に真剣に農業に取り組んでいる人たちばかりなんです。彼らを何とか救いたいのです。
ぜひ、山田錦を使った良い純米大吟醸を飲んでやってください。ここは、獺祭だけと言いたいところですが、そうは言いません。また、山田錦だけと言いたいところですが、これもいい酒米とさせてください。ぜひ、そんなお酒を楽しんで頂く事が、全国の良心的な農家の支えになることをご理解ください。お願いします。
しかも、日本酒はワインなどと比べて、良い純米大吟醸でも割安です。これは、「ワインやシャンパンと比べて日本酒のブランド構築努力が足りない」とマーケッターなどからはマイナスの指摘をされることも多いのですが・・・、そんな理屈は抜きにして、とにかく安いのです。私どもの獺祭純米大吟醸45でも、720mlで税込み1650円です。ぜひ、楽しんで頂きたいのです。
それと、もう一つあります。私どもの獺祭を始め、そういった純米大吟醸のほとんどは大型スーパーやショッピングモールではなく町のお酒屋さんにあることが多いのです。町のお酒屋さんも地域が健全にあるための構成要素として大事な商業施設です。獺祭のホームページで、割増価格ではなく、正価で購入できる全国のお取扱店を載せております。おそらくこれらのお取扱店は獺祭だけでなく、他にも良い酒を取り揃えています。そして、おそらく、三密も少ないでしょうから。
そして、ぜひ、適量をゆっくりと、ご家族や恋人と、もしかするとご自分自身と会話しながら味わってください。
その時、一つ、さらにお酒を美味しくする秘訣があります。私もなかなかできないのですが、自分をそして一緒に飲んでいらっしゃるお相手を、そしてお子様たちを、「よく頑張ってるね」とほめてあげてください(私を含めてできない人は心の中でも)。美味しさ二倍。
最後に、このコロナウイルス禍の世界ではありますが、皆様と共に在り、皆様と共に耐え、努力できることを感謝し、日本人であることを誇りに思っております。ありがとうございます。