☆アメリカは雑か?

はい、雑です。ただし、細かな部分という前提です。例えば、あれだけ安全基準や衛生基準に厳しいのに、ニューヨーク蔵の製造パートの設備を見ていても、手洗いのシンクの大きさに比べて蛇口の金具が不必要に大きい。周囲に水を撒き散らさずに手を洗うことはものすごく難しい。何考えてるんですかね。一事が万事こんな感じです。この辺りは設計図を見ていた段階では私たちにもわからず、出来上がってしまってから気づいた次第です。つまり小さな事はあまり信用できない。

しかし、アメリカの名誉のために言いますが、大事なことや本質的なところでの対応力とか感覚というのは素晴らしいものがあります。アメリカに駐在している日本人ビジネスマンから何人も称賛の声を聴いたのですが、コロナの時にその良い面がはっきり表れたそうです。

もちろん日本の百倍のスケールに及ぶ死者など初期対応や貧困者対応などに問題は大有りなのですが、例えば数千規模の病床を持つ病院船をすぐニューヨークの沖に派遣して対応するとか、野戦病院みたいな病院をいくつも、とにかく建設して、稼働させるとか、対応は素早く、すごいものがあったそうです。

また、オミクロン株に移行して、感染者の死亡率や重症化率が落ち着いたとみるや、一気に国全体でウィズコロナ体制に移行して、みんなでアメリカを立て直そうと普段通りの生活に戻っていった。その一致団結したアメリカ国民の姿は感動的だったそうです。それを聞いて、政府が「いくらマスクを外しても良いよ」「国民生活を取り戻そう」といっても信頼しない日本の国民性の弱点を見た気がしました。(こんなことを書くと一部の方から怒られるんだろうなぁ)

まあ、アメリカというのはこんな良い点とそして弱点を持つ国なんです。

しかし、問題は、日本酒、特に獺祭は緻密な上にも緻密な技術の積み上げでできていることです。ここを外して獺祭にはならない。これは獺祭Blueでも同一です。ここを大きな問題には理解力も実行力もあるけれど細かなところには雑な(はずの)アメリカ人スタッフに理解して腹落ちしてもらって初めて獺祭Blueも出来上がるのです。試練はまだまだ始まったばかりです。

そんなこと言ってたら、麹室の天井から水漏れが!! 「こりゃまずいな。麹室の天井工事が雑で湿気がたまって落ちてきたか」とか、「そもそも断熱の概念が設計に無くて(甘くて)湿気がたまっているのか」と青くなりました。しかし、麹室の天井裏に上がってみると冷凍乾燥機の初期不良で水漏れを起こしていました。一寸、ホッとしました。

しかし、そもそも、日本なら、こんな初期不良もあり得ない!!!!!  道は遠いですよ。しかもしかも、天井裏に上がってみると工事をしたまま汚れっぱなし。パネルなどの包装紙なども置きっぱなし。彼我の間にはかなり大きな感覚の違いがありますね。

でも、最初の二回ですが、麹の仕上がりはまあまあです。ご期待のほどを。