大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第一回 『三燔』MIHAN台北(台湾)

更新日:2006.11.06|居酒屋めぐり|

三燔HPは http://www.grandformosa.com.tw/japen/restaurant.html

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(写真1)『三燔』のエントランス

驚きはエントランスです。台北市の中心に建つ五つ星ホテル、 フォルモサ・リージェントホテル(晶華飯店)内に、この秋、オープンした『三燔』の前で、一瞬、自分は本当に台湾に来 たのだろうかとハタと立ちすくんでしまいました。まるで盛大なお酒のイベント会場のように立派な四斗樽が壁面を埋め尽くしているのです。近いとはいえ成田から3時間のフライト。ここは異国だったはず・・・。

海外旅行が好きで、暇とお金と隙(って、一体、何の…?)を見つけて時々出かけるのですが、 何しろ飲み食いへの好奇心と胃腸の強靭さは人一倍のわたし。その国にいる間、“日本食が食べた くてたまらない症候群”に襲われることは、ほとんどありません。でも、ことお酒に関しては別人 格が表に出てきて、ビール、ワインなどで満足していられるのはほんの数日。どこかに日本酒が飲 めるお店はないものかと落ち着かない気分になってしまうことも。おっと、自制はできています。 今のところ。 とにもかくにも海外で日本酒を飲む際、必要なのは旅立つ前のリサーチです。日本料理の看板を見 つけ、「やった」とばかりに入っても、おいしいお酒が置かれているのは滅多にないという現状。 好きな味のお酒を求めて言葉の通じない街をうろつく羽目に陥らないように、ガイドブック、イン ターネット、口コミなど、広く手段を講じます。幸い、今回、わたしが訪れた台湾は、日本料理と ともに日本酒もブームとなっており、行きたいお店が何軒もヒット。ラッキーでした。

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(写真2)『三燔』日本酒メニュー

そんな中、取り分けわたしを惹きつけたのが『三燔』でした。 理由は一目瞭然。見てください、このお酒のランイアップを!

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(写真3)『三燔』玄関とスタッフ

玄関近くの大きなガラスケースの中にズラリと並ぶ一升瓶は 壮観そのもの。ここでお客はどの酒を飲もうかとワクワクす るという仕掛けになっています。(写真3)

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(写真4)獺祭の名のついた個室

京都をイメージしてデザインされたという150席ほどもある “和テイスト”の広い店内は、提供される料理(しゃぶしゃ ぶ、焼肉、炉端焼き)ごとに3つのセクションに分かれてお り、ぐるりと個室が周囲を囲んでいます。各室に酒蔵の名前 がついているのも一興。部屋の名の由来を尋ねれば、自然と 酒の話に花が咲くことでしょう。 (写真4)

その夜、わたしが食べたのは炉端焼き。料理長オススメの紅喉魚の塩焼きは、あっさりした口当 たりなのに甘みがふっくらと口の中にふくらんで、丁寧に磨かれた山田錦から造られた吟醸酒と 相性ピッタリです。魚の口を箸でこじ開けて中を覗くと、喉のあたりが黒く染まっていました。 日本では“のどぐろ”と呼ばれるアカムツと同じ種類の魚でしょうか。台湾では紅、日本ではク ロ。その表現の違いはなんだろうと考えたりしながら、炭火で焼かれたマコモ茸、里いも、とう もろこし、牛ヒレ肉をバクバクといただき、調子よくお酒もすすんでいきます。合わせたお酒は、 天鷹の純米吟醸、獺祭の三割九分、そして奥の松の安達太良吟醸酒。ああ幸せ。

『三燔』には、日本からのビジネスマンも多く訪れるとのことですが、70〜80パーセントは地元 台湾の方々だそうです。わたしのまわりにもカップル、家族連れなどが、お刺身やしゃぶしゃぶ とともにお酒を楽しんでいました。海外では、税金等の関係で、日本で飲むよりも日本酒がかな り高額であることなど、意に介さないという雰囲気でした。日本でフレンチを食べるとき、たと えばボルドーのワインがフランスでの価格よりはるかに高くても、わたしたちが気になどしない ように。「日本料理に合うのはやっぱり日本酒でしょう」と、『三燔』のスタッフの一人、陳さ んは言い切りました。“その通り!”と、ことさら深く頷いたのは、正直、胸のつかえがおりた ような気がしたからでした。東京にある日本料理店、寿司店のどれほどが、陳さんが言ったよう に胸を張って日本酒をお客様にすすめているでしょうか。日本人は元より、海外から日本を訪れ、 日本料理屋に足を運ぶ人々は、日本の料理を味わいたいのです。そしてその料理に合うお酒を味 わいたいのだと、わたしは思うのです。ついこの間、読んだ雑誌に、とある人気ホテルの寿司店 のランチメニューが紹介されていたのですが、そこには、辛口の日本酒に加え、シャンパン、白 ワインも取り揃えてあると書かれていました。もちろん、それでいいのです。好みは人それぞれ、 千差万別なのですから。ただ、わたしはお店の方々にお願いしたいのです。日本酒の本当の美味 しさを、もっとたくさんの人々に伝えてくださいと。

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(写真5)台北市の夜景

マスクをしたドライバーを乗せたスクーターが走り回る台北。 ペットボトルや紙くずが道端に落ちておらず、夜市の人ごみで も右側通行が守られている台北。世界最速のエレベーターを備 えた101階建てのビルのある台北。そんな町で、日本食と日 本酒が受け入れられ、人気を集めはじめていることを、とても うれしく誇らしく、けれど少しだけ不思議に感じます。その台 北と台湾南部の町・高雄間を、一時間半で新幹線(日本の新幹 線、海外初デビュー!)が結ぶのも、まもなくとのこと。人や 物の流れがドラマティックに変わる予感がします。そう遠くな いいつか、二度目に訪れる台湾が、どんな驚きをわたしにもた らしてくれるのか、今からワクワクします。そして、そのとき (写真5)台北市の夜景 『三燔』でぜひとも食べたいお料理は、贅沢にも吟醸酒で蒸篭蒸しあげた牛肉料理。どんなお酒 と合わせようかと迷うのも、楽しみのひとつです。

おいしいお酒とお料理、それを演出する居酒屋さん、集う人々、その人々が暮らす町との素敵な 出会いに、乾杯!!

蔵元の蛇足

ホテルは二階がエントランスとフロントになっています。地下一階・二階は免税ショップとマッ クス・マーラーやエルメス・プラダなど高級ブティックが並んでいます。ですから、この「居酒 屋めぐり」を読んで行って見ようという方に一言、女性はぜひとも旦那を引っ張って階段を歩い て下りる事をお勧めします。男性はホテルのフロントを過ぎてすぐ右奥に地下三階に直行できる エレベーターがありますから奥様を連れて迷わずそちらに乗られることを推薦します。(桜井博志)

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