大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第二回 『鈴藤』台北(台湾)

更新日:2007.01.06|居酒屋めぐり|

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(写真1)台北101

台北を訪れた三日目の夜、話題の『台北101』に昇ってみることにしました。(写真1)
2005年の春に竣工したこのビルは、台北市内の足、MRT(都市交通システム)・板南線の市政府駅から歩いて10分ほどのところにドーンと建っています。お天気が今ひとつという日は、雲の中に隠れてしまうほどの高さ。この夜は昼までかかっていた霞がなんとか晴れたという程度でしたが、世界で一番という高速エレベーターであっという間に展望台に到着。

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(写真2)鈴藤

広いフロアを台北の夜景を楽しむことができました。再びそのエレベーターで降下し、ビル内のショッピングセンターとレストランフロアを散策していたところ、名高い日本料理店『WASABI』を発見。ここにもいいお酒がたくさんあるのですが、それは次回の楽しみに取っておくことにして、101ビルから少し歩いた仁愛路に、今年の夏オープンしたという日本酒バー『鈴藤』に向かいました。市政府から仁愛路の辺りは、ビジネスマン、デートやショッピングを楽しむ地元の人々、旅行者のいずれのカテゴリーでも若目の人たちが多く、ウェスタンスタイルの新しいカフェやバーがあちこちにあり、台北の中心街である中山北路とは雰囲気がかなり異なります。東京で例えるとすれば、銀座と六本木ぐらいの差があるような。そんな新しい街の中に、『鈴藤』はありました。(写真2)

12〜3人ほど座れそうなカウンター席に、二十代とおぼしきひとりの若い台湾の男性、少しおいてやはり台湾の若い女性がふたり、そして奥にある個室には、やはり年若い4人の台湾人女性が陣取っていました。中山路の東から南に向かって走る林森北路に密集している和食店、居酒屋では、日本人客率が50パーセントを超えるそうですが、『鈴藤』はどうも客層が違うようです。もちろんカウンター内で働くスタッフも皆、台湾の若者です。(写真3,4)

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(写真3・4)「鈴藤」のスタッフ

 

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(写真5)酒米ディスプレイ
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(写真6) 日本酒デイスプレイ

外国にある日本料理店や居酒屋には必ず日本人客がいるはずというのは、こちらの勝手な先入観なんですね。ともあれ、わたしもカウンター席につきました。店内のディスプレイはとてもオシャレで洗練されている上、精米された酒米を見せることで、自然な形で日本酒の造りの繊細さをアピール。冷蔵庫に並べられた一升瓶と四合瓶も、ライトアップされることによってスタイリッシュな高級感を漂わせていました。(写真5、6)

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(写真7)獺祭

スタッフと、ひとりで飲んでいるお客の男性が、ずっと中国語で話しているんです。 客の男「最近、彼女とうまくいってなくてサ・・・」 スタッフ「仕事はうまくいってるんでしょ」 客の男「どうかなあ。上司がうるさいから。今日もプレゼンのやり方が変だって言われてまいっちゃうよ」 スタッフ「そうですか。うまい酒でも飲んで、元気だしてください」ってなことを話してるのかと思いきや、後から来たその男性客と『鈴藤』で知りあったという日本からの留学生の女の子によれば、西門町(東京でいうと原宿のような町)で人気のバーにガールフレンドと行ったけれど、彼女も彼も『鈴藤』の方が食べ物も酒もおいしくて好き、という話をしていたとのこと。ありきたりな自分の発想を恥じながら彼の飲んでいるお酒を覗いてみたら、「獺祭・純米大吟醸二割三分磨き」。さもありなん、おいしいはずです。それにしてもあの若さであの酒をひとりで飲むなんてっ!!一体、どんな職業についているのでしょうね・・・。(写真7) おっと、わたしのいただいたお酒も味わいがあってよかったです。それに酒量ではわたしが勝ち!(それって・・・)ちなみにその夜、わたしが『鈴藤』で飲んだお酒は「菊の司・純米吟醸」と「加賀鶴・吟醸純米」。焼き鳥、さばの塩焼き、昆布巻き、おでん(店長が二日かけておだしをとった優れもの)など、お料理もたっぷりお腹におさめました。ということで食べた量もわたしの勝ち!(だから、もういいって・・・)。ともあれ、大いに満足したのでした。(写真8、9)

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(写真8・9) 「鈴藤」の料理

品のいいバーテンダーが極上のカクテルを作って場を引き締めるバーが今もあり、若い女性バーテンダーがシェイカーを振るいウォッカやジンベースの酒を提供するシャレたバーや、古酒のみを扱って酒の世界の奥深さを体験できるバーも誕生。変わらないものと変わるものをうまくミックスさせて、わたしたちを飽きさせない日本のバー事情は常にエキサイティングですが、蔵元によって精魂込めて作られた日本の酒が、日本から単身赴任しているビジネスマンたちや接待相手との間で飲まれるだけでなく、自然な形で地元の若い世代に広まりつつある台北のバー事情も、とても興味深いものでした。 今夜も、おいしいお酒をいただける幸せに、乾杯!

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『鈴藤』スタッフとお客さん。右端が筆者。

 

蔵元の蛇足

そうです。わたしも前回の居酒屋めぐりに登場したリージェントホテルの「三燔」で隣の30代のビジネスマンがなんと獺祭磨き二割三分720mlを1ケース12本(!!)注文して(まさか、一度にゃ飲まないんでしょうけど)、そのうえモデル級の美女ばかり4〜5人(!!!)つれて飲んでるのを見て、台北経済の活気、と言うよりもこのお兄さんの個人的景気に「脱帽」ってなっちゃいました。うーんっ、うらやましいっ!!!!うらやましいぞっ!!!!!(蔵元 桜井博志 記)

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