大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第七回 『桜倉』東京都(神楽坂)

更新日:2007.06.22|居酒屋めぐり|

桜倉HPは ⇒  http://s-sakura.sakura.ne.jp/

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すくっと立つ
スタイリッシュな玄関

江戸時代、江戸城への出入りを管理するために、現在のJR飯田橋駅西口付近に牛込見附が設けられました。関所のような役割だったといいますが、その牛込見附の御門からまっすぐ伸びた坂が、神楽坂。徳川三代将軍・家光が矢来町のお屋敷からお城に向かう通り道だったこともあり、武家屋敷、町屋が混在するように立ち並び栄えていった神楽坂は、その後、皆様ご存知のように、多くの芸者衆が行き交う花街となりました。

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「さくら」と読みます

「桜倉」(さくら、と読みます)は、賑やかな神楽坂の通りから少し離れた大久保通り沿いにあります。車や人通りが多い辺りを、スッとそこだけ異空間であるかのように区切った玄関装飾が印象的です。

店内はモダンで清潔感に満ち溢れています。奥にある、掘りごたつスタイルのカウンターに案内していただきました。
この夜は、春とはいえ少々肌寒かったのですが、すぐにほんわかと暖かくなりました。足元にホットカーペットが敷かれ、ひざ掛けも用意されているのです。店主・沼倉さんのさりげない優しさを感じます。

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季節の花の向こうに焼酎がズラリ
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見えます、『獺祭』!
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休日は食べ歩きを
するそうです

 

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『槽場汲み』は本生です!

沼倉さんが、『獺祭』ブランドの中でも珍しいものあると出してくださったのは、『獺祭・純米吟醸 槽場汲み』です。槽場とは酒の搾り場のこと。すなわち、搾り器から出た酒をそのまま汲んだ酒なのです。搾ってそのままですと、少々荒々しさが残るのが普通ですが、『獺祭・槽場汲み』は、通常のものよりもやや濃い目で香りも高いのですが、持ち味のやわらかさはそのまま。お通しのきぬかつぎ、するめのしょう油漬け、淡路の海で取れた鯵のお刺身とともにいただきます。稀少品のお酒と、丁寧につくられたお料理・・・背筋が伸びる思いです。

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これぞ、酒のあて

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若竹の黄金色に木の芽の緑

旬にこだわり、産地にこだわったお料理には、素材への強いこだわりがあります。東京にいると、年々、季節感が薄れていくようですが、「桜倉」では、いただくお料理によって本来の季節を味わうことができます。さらに、獺祭ファンにたまらないのは、常時、3種類のお酒がキープされていること!そこで、栃木県産の若竹を煮切りじょうゆで炙った一皿と信州牛サーロインステーキ、300mlボトルの『獺祭・発泡にごり』『獺祭・磨き三割九分』をいただくことにしました。竹の子独特のほのかなえぐみに香ばしい煮切りじょうゆがよく合います。少なめにとお願いしてミディアムで焼いていただいたステーキは旨味とコクがたっぷり。キンキンに冷えたグラスでいただくにごり酒、 バランス抜群の三割九分とともに、恥ずかしながらこの日も食欲全開でした。
(実は、赤茶豚のしゃぶしゃぶも平らげました。そぎ切りしたネギと野辺山の赤茶豚のみのシンプルなしゃぶしゃぶですが、これがまた絶品!)

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旨味たっぷりのステーキも
カバーする『三割九分』

神楽坂に「桜倉」を開くべく、三十年続けたサラリーマン生活に終止符を打った沼倉さんですが、退職の十年も前からお店を持つことを考えていらしたそうです。コンセプトは、“大人がくつろぎ楽しめるお店”。一気飲みで盛り上がる喧騒とは無縁。働く人々も、抑え目な声での接客です。ほど良い静けさに時を忘れ、リラックスしてお酒とお料理を味わえるため、開店と同時に来店して閉店までいる、わたしのような長っ尻の客が多いことを、沼倉さんはむしろ嬉しいと言ってくれます。ありがたいことです。大人であることが嬉しい。アンチ・エイジング隆盛の今、年を重ねてきたことをちょっと誇らしく思ったのでした。

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落ち着きのある店内

玄関横の小窓は、日常と非日常を結ぶ出入り口のようにも見えます。その横に、日本地図が貼られていることに帰り際、気づきました。日本各地の漁港が記されている漁港地図!次回はぜひ、羅臼のきんき、銚子の赤むつなど、オススメの魚料理をいただきたいものです。

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産直の海の幸をお試しあれ
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内と外を分ける小窓。
そして漁港地図

ほろ酔い気分で、懐かしい路地景観と情緒を保つ神楽坂界隈をぶらぶらと歩きます。370年ほども昔の家光の時代、大人たちはどんな風にこの街を楽しんでいたのだろう…その時代にこの辺りで生まれていたら、わたしは何をしていただろう…もしかしたら…と、まだ非日常が続いているかのようにあれこれ想像をめぐらしながらの帰り道でした。

お酒とお料理と、それを楽しめる幸せに感謝して…乾杯!

蔵元の蛇足

桜倉のご主人の沼倉さんは昭和25年生まれ。何を隠そう私と同い年です。でも、年を聞いて異口同音に酒蔵のみん なが私の顔を振り返って、「えぇ、若—い!!」ともらしました。(そんなにこっちは年寄りかい。ふん!) で、 私の対抗心丸 出しの分析によると・・・①そのとき沼倉さんは赤いポロシャツを着ていた。②奥様が若くて美人、したがって云々・・・ と、この二つによると思います。

ですから、このお店の楽しみは四つあります。①旬にこだわった料理の美味しさ②獺祭が美味しい(よく言います?この際、言っとかなくっちゃ)③美人の奥様を眺める④沼倉さんを見ながら蔵元(私)を酒の肴にする。以上です。

(蛇足の蛇足)
今回の蛇足は「オヤジ」がそうとう入ってますか? しかも、せっかくライターの大平さんは「大人のくつろぎの楽しめる店」の切り口で迫ってくれたのにねぇ。あいも変わらず「どっちが若いの」の意地の張り合いで・・・・すいません。

(蔵元 桜井博志 記)

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