大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第九回 『鼎』東京都(新宿)

更新日:2007.10.28|居酒屋めぐり|

鼎HPは ⇒ http://www.kanae-3.com/

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末広亭の近く。
この看板を見つけてください。

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お正月以外は日曜祭日も
開店しています。

秋も深まってまいりました。四季のうち、秋が一番好きという方も、 数多いと思われますが、わたしもそのうちの一人です。地球温暖化の影響で、都内の紅葉の見頃はまだまだですが、秋を楽しむ方法は盛りだくさん。
そこで、一日に400万人という信じられない数の人々が行き来する、巨大ターミナルシティ・新宿で、秋を楽しむことにしました。

まずは新宿御苑の散策からスタート。ここが東京のど真ん中であることを忘れてしまうほど緑が多いことに、地方から来る人や海外からの旅行者は“ここが東京?それも新宿?”と、驚くそうです。植え込みに咲く真っ白なシュウメイギク、満開を迎えたキンモクセイの甘い香り、澄んだ青空に映える秋バラなど、五感に訴える自然を満喫。広い園内ですが、歩くのが苦になりません。小腹が空きましたが、もうひと頑張り。新宿門を出て少し歩けば伊勢丹近くに出来たシネマ・コンプレックス、新宿バルトに到着します。
平日の午後に始まる映画なら1300円で見ることができるのが魅力。何を見るかとあらかじめ決めず、行き当たりばったり、時間にあった映画を見ることにします。そんなことも秋の一日に起こるミステリーと考えましょう。映画館を出る頃にはあたりは暗く、もう空腹を我慢することはありません。ノドも潤さなくっちゃ。食べるなら、秋の味覚を思う存分、感じさせてくれるお店がいいですよね。そして、やっぱり美味しいお酒があるところ。ある んです、そういうお店。訪れたのは、末広亭のすぐ近くにある創業36年の『鼎』(かなえ、と読みます)です。

地下に下りると重厚な木の扉にぶつかります。ぐっと押し開けて入るとカウンターにずらりと、だだ茶豆、絹かつぎ、根三つ葉の山葵和えなど、酒飲みを惹きつける大皿料理が並んでいます。カウンター席、テーブル、小上がりと、店内はバラエティに富んでいて、ひとりで行ってもカップルでも、ちょっとした団体さんでも大丈夫。60名ほど、入れます。

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歴史を感じさせる扉です。
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落ち着く雰囲気の店内。

 

『鼎』には、なんと、「獺祭・二割三分」が常備されています。一合のかたくちでも、グラスでもオーダーすることができます。合わせたのは、活〆黒鯛の炙り。ふくよかな甘みとしこしことした歯ざわりでとっても美味。味よくキレよく香りよく、豊かな広がりのある二割三分とはベスト・マッチ。なんとも贅沢で、体中が喜びでいっぱいになります。松茸の土びん蒸し、ジャガイモのネギ焼き、肉豆腐をお願いし、どんどん平らげてしまいました。まさに食欲の秋の体現です。

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「獺祭・二割三分」
至高の味わいです。
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お酒との組み合わせは最高でした。

 

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「田酒・特別純米酒」

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「獺祭・純米吟醸45」
味わい豊かです。

たくさん歩いたせいか、それともいつものようにと告白するべきかはともかく、食欲はとどまるところを知らず、馬刺しと海鮮クリームコロッケもいただくことに。合わせたお酒は「田酒・特別純米」。馬刺しのパンチある味に負けない力強い味が魅力です。そして最後は、「獺祭・純米吟醸45」をいただきました。45は、50の味わいと三割九分のきれいさを併せ持った酒だとわたしは思います。獺祭の二割三分と45を置いている居酒屋さんは全国でも数少ないと思われます。店長である山本博文さんの、酒へのあついこだわりを感じます。

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新鮮でしっかりした味の馬刺し。
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お新香の盛り合わせ、
大好物です。

 

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『鼎』の幅の広さは
メニューが物語ります。

『鼎』は、季節ごとの旬の素材、味わいを大切に考えています。そして、それがお酒に合うことが何より大事なのだと山本店長。メニューのバラエティは目を見張るほどで、どんな嗜好のお客さんも受け入れることができるでしょう。ポテイトサラダ(ポテトではなくポテイト)、生蛸アンチョビ炒めなども、お酒に合ってしまうのが不思議。懐の深さを感じます。

流行も趣味も嗜好も人々すらも激しく変わっていく、魅力を放ちつつも得体の知れない摩訶不思議な新宿という町にあって、長い間、流されることなくおいしい料理と酒を提供し続けてくれる『鼎』。人恋しいときは寄り添うように、語り合い笑い合いたいときは盛り上げるように、『鼎』は訪れる人それぞれの空気感を感じ取って対応してくれます。 
外に出れば、そこは新宿の喧騒。まだまだ秋の夜は続きます。御苑を歩き映画を見て、食と酒を満喫したあとに、いつもなら家路につくのに、ここ新宿ではもっと奥へと入り込んで行きたい衝動に駆られたりも・・・・・・。ですが今夜は、素晴らしいお酒と食事で暖まった体が、夜気で冷えないうちに、帰ることにいたします。

おいしいお酒とお料理との出会いに感謝して、乾杯。

蔵元の蛇足

いかがでしたでしょう。酒の品選びはもちろん、お料理が必ず一手間かけていますよねぇ。こんな店、地方には本当に少ない。先日もある知り合いが山口県内のある都市で「居酒屋を開店したい」と現れました。冷凍食品を割り切って使って品揃えをする一方で成功した時は多店舗展開を図りたい旨、熱く語る彼に違和感を禁じ得ませんでした。

でも、こんな店ばかりじゃありません。私どもの地元山口県にも良い店が一杯あります。そんな店の一軒に近々、作者の大平由美さんをご案内して山口の「居酒屋」の魅力にどっぷりはまってもらおうと思っています。乞う、ご期待。

(蔵元 桜井博志 記)

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