大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

Extra vol.『六本木ヒルズクラブ』(東京・六本木)

更新日:2008.01.18|居酒屋めぐり|

六本木ヒルズクラブHPは ⇒ http://www.roppongihillsclub.com/visitor/dfw/jp/index.html

森タワー51階でエレベーターをおりた瞬間から、わたしの最初 にして最後(と、なるかもしれない)のヒルズクラブ体験は、は じまった。ゴージャスで荘厳、しかも整然としながら、それでい て暖か味のある笑顔と気配りで迎えられ、広い広いフロアを、今 夜、開かれるイベント『日本の食と酒紀行〜こだわりの“ふく” と“獺祭”』会場へと向かう。緊張のあまり、歩幅がわけもなく大 きくなっていく。もともと気が弱いのだ。心臓がドキドキしたら どうしようと不安になり、本当にドキドキしてきてしまう。 ・・・・・・困った。落ち着かなくては・・・・・・ そのとき、わたしは事前に学習しておいたヒルズクラブのテーマ を思い出した。 それは、人を中心として変化していく「シンポシオン」。「シンポ シオン」は、シンポジウムの語源で、「共に食べ、飲み語らう」と いう意味だという。ヒルズクラブの必要条件はひとつ、そこには 『美』がなければいけない。『美』のもとで人は刺激され、かつ癒 され、心を開き語り合うことに時間を忘れるのだ、と。なるほど、 美しい食と美しい酒こそがヒルズクラブの基本にあるのだ。 だから、『獺祭』。うんうんと頷いていくうちに落ち着いてきて、 歩幅も元に戻り、というより、目指す場所に着いたのだ。 そこは……お酒の会の会場とは思えないような空間だった。

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素晴らしいお酒も、共にある食と共に飲む人があってこそ、とい う旭酒造・桜井社長の挨拶で、会ははじまった。『獺祭・二割三分遠 心分離磨き』で乾杯すると、30人のお客さまの間から、「わー、美 味しい」「うーむ」といった感歎の声が上がる。美しい食の先陣を切 って饗された先付の“ふく煮凍り”を食べたあとも、同様の反応が 自然にわき起こった。次に出てきた刺身は、ふくの味を存分に味わ えるたっぷりの量。車えびの塩焼きと、山口県の産物をあしらった 八寸には、『獺祭・三割九分磨き』及び『獺祭・純米大吟醸50』が 合わせられた。

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印象的だった煮こごり
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ふくの質と量に、みんな大満足
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山口の食材をあしらったひと皿

ヒルズクラブ・百味庵の料理長である三浦 雅彦さんは、お料 理はもちろんのことだが、トークもすばらしい。自然と場を和ませ 盛り上げ、いつのまに見知らぬまわりの人々が談笑し合える雰囲気 をつくりあげてしまう。『獺祭・二割三分 遠心分離』のヨーグルト 状の酒粕を用いて作られたブラマンジェ(絶品でした!)とパウンド ケーキ、お米のアイスからなるデザートタイムのころ、会場は心の 底とお腹の底からの笑顔に包まれていた。

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もう一度食べたいブラマンジェ
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ヒルズからの夜景と酒粕パウンドケーキ

三浦さんは、この会に向けて、夏に蔵元を訪問。以来、何ヶ月も かけた準備を経て、知恵をしぼり、心をくだいてお料理を用意され た。それらは、美酒『獺祭』とともに、ここまでにかけられた日数 の何百分の一、いや、何千分の一の時間でわたしたちの経験となっ て記憶され、かけがえのないひと時となっていった。 それを三浦さんは、喜んでいらした、と思う。おそらく、蔵元も同様に。

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にこやかなツーショット
三浦料理長と桜井社長

初めて『獺祭』を飲んだときのことを思い出す。 「こ・これは……」という、まるでコミックのふきだしの中におさ まったセリフのようなことばが口をついて出そうになったときのことを。 一瞬、それまで日本酒に抱いていた印象を覆すような驚きと、相反 するようだが、探し求めていたツボにきたという満足感が同時にわ たしおそったのだ。そう、ひとつの出会いは、確かに人の何かを変 える力を持つ。 この日、会場のあちこちで聞かれた「一期一会」ということばに、 それは凝縮されている。『獺祭』との出会い、三浦料理長の『料理』 との出会い、そしてそこに居合わせた人々との出会いのすべてが、 ありがたく、いとおしい。

今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

 

蔵元の蛇足

来るのは最初にして最後なんて言わないでくださいよ。純米酒フェスティバルなんかで よく会うやさしそうなご主人に「私を『何とか記念日』に六本木ヒルズへ連れてって」と命 令するとか、お金持ちの女友達とかをうまいこと丸め込むとか、「日本酒の姐御」と慕わ れてよくしたがえて歩いてる大平ボーイズ(後輩たち)に割り勘で払わせるとか、 成功したら、僕も同伴させてもらいたいなぁ。あと、常務も「自分がいないときにこんな美 味しい思いをして」とぼやいていましたので、是非、よろしくお願いします。

(蔵元 桜井博志 記)

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