大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第三十五回 ロス・アンゼルスで獺祭を

更新日:2010.07.16|居酒屋めぐり|

~お届けします『獺祭』事情 in L.A.~

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まばゆい陽光、カラリとした気候に恵まれたカリフォルニア州最大の都市、ロス・アンゼルス!映画好きにはたまらないハリウッドを擁するこのビッグシティは、子どもの頃からいつか訪れたい憧れの場所でした。それなのに、気がついたらニューヨークやヨーロッパは訪れたのに、今まで、ロスには行かずじまいだったのです。ということで、わたしにとっての初めてのロスは、『獺祭』に関わるものとなりました。これも、お酒による素晴らしき縁と言わせてください。
さて、ロス・アンゼルスでも、ニューヨークのように、『獺祭』は大ヒットしているのでしょうか・・・・・・?実は、マンハッタン集約型のニューヨークと対照的に、四方八方に羽を広げたように町々が広がるロス・アンゼルスでは、日本酒、そして『獺祭』の受け入れられ方も、少々、違っていました。

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匠味 in Little Tokyo

アメリカでの寿司人気は、ロスを車で一時間ほどドライブすればお分かりになることと思います。行く先々のショッピング・モールには必ず寿司・レストラン(鉄板焼きや焼き鳥などを併設した和食店を含めて)がありますし、町によっては、1ブロックごとにお寿司屋さんを発見するという、すさまじい競争ぶりです。とはいえ、激戦地区といったら、やはりダウンタウンのリトル・トーキョーがいちばんでしょう。その中で、ネタよし、味よしのお店として知られているのが「匠味」(たくみ、と読みます)です。

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徳島生まれの新二さんは、27年前に単身、ロス・アンゼルスにやってきました。以来、キャリアを重ね、リトル・トーキョーにお店をかまえて3年になるそうです。ネタのほとんどは築地からで、生牡蠣(くまもと)など、アメリカ産のほうがいいと思うものだけを、現地で仕入れます。お仕事もしっかり。お料理もお寿司も、食材の持ち味を生かしていて、見た目は美しくし、食感は楽しく、甘み、旨みのバランスもよく、大満足でした。肝心のお酒ですが、『獺祭』がメニューにのったのは今年の2月からのこと。『獺祭・二割三分』を新二さんご自身が試飲して、それまで扱っていた他の純米大吟醸からすっぱり切り替えられたそうです。なんとも嬉しい限りです。『獺祭 50』もいただけます。

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リトル・トーキョーの和食店では、今年に入って『獺祭』を置くお店が増えてきています。東京やニューヨークで人気のあるお酒だからというより、流通を担う人々を通じて、お店の方やお客様に、実際に知っていただけるようになったことが大きな理由だと思われます。
この日も、アメリカ人男性が「匠味」を訪れ、新二さんと話しながらお酒を選んでいました。(久保田でした。『獺祭』はわたしが飲んでしまって品切れ!ごめんなさいっ)人から人へ、これこそがリトル・トーキョー、ひいてはロス・アンゼルスでのキーワードなのです。

spago in Beverly Hills

ウォルフガング・パックという人をご存知ですか?オーストリアに生まれ、パリの名だたるフレンチで研鑽を積んだのち、1973年にアメリカに渡った彼は、アメリカ料理界に新風を吹き込みました。今では“アメリカ料理を変えた料理人”と言われているほどです。アメリカ全土にわたって彼がプロデュースするレストランがありますが、おおもととなっているのは、ミシュランで2つ星をとっているカリフォルニア・キュイジーヌ、「spago」(スパーゴ)です。そのspagoで、『獺祭・二割三分』が、つい最近、オン・メニューとなったと聞いて行ってきました。パティオのあるハイ・センスな店内、活気あるオープン・キッチン。食とお酒の世界に訪れる人々の想像は羽ばたきます。
こちらのソース・シェフはTetsuさんという若き日本男子。彼の影響とトレンドがあいまって、spagoのお料理にもサシミ・サラダのような和風テイストのものがあるので、ワインのみならず、お酒とも合うのです。ましてや二割三分!軽い味のピザ・ブレッドにカッテージ・チーズとサーモンののったアミューズにもピッタリでした。

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ウォルフガング・パック氏は、アカデミー賞(オスカー)の公式シェフでもあり、ディナーにおけるメニューの総責任者です。そんなパーティの場で、シャンパンやワインとともに、世界的なセレブリティたちに『獺祭・二割三分』を味わい、楽しんでもらえる日が遠くないことを期待した夜でした。

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TORIHEI(とり平) in Torrance

トーランスは、ロス・アンゼルス近郊地域の中で、TOYOTAなど大企業の工場があることもあって、日本人が多いところです。少し南には、ロングビーチやサンペドロなどの港が連なり、フィッシングやホェール・ウォッチングを楽しむこともできるとか。快適な居住区であるトーランス、美味しい和食店がけっこうあります。なかでも、オープンしてまもなく1年半を迎える「とり平」は、夜の7時をまわると、外に列ができるほどの予約必須の繁盛店です。
『獺祭・二割三分』『獺祭・50』 『獺祭・にごり』と、ライン・アップもバッチリです。

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紀州の備長炭でじっくり焼いた焼き鳥の美味しさはもちろん、じっくり煮込んだおでんも人気。これが『獺祭』とぴったり合って美味しい!
場所柄、アジア系の人々が多いとのことですが、やはりここはアメリカ。味とともに満足の量が求められると、オーナーの平田さん。20代の頃に、ロスで自家用航空機操縦のライセンスを取得されたそうで、その頃からアメリカ進出の道はできていたのでしょうか。まだまだ支店を増やしていきたいそうです。応援しますよ~。ちなみに「とり平」の本店は、たまプラーザにあります。トーランス店にある“サーモンとクリームチーズのロール寿司”はなかったけれど、済みきった地鶏の出汁からつくったラーメンが絶品でしたっけ。

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今回、とくに感じたのはロス・アンゼルスのあまりの広さと人々のさらなる多様さでした。日本酒は寿司人気とあいまって、確実に受け入れられつつありますが、日本酒が飲まれるシーンがすでに完成されつつあるニューヨークと異なり、ロスの市場からは、日本酒に対する戸惑いとともに期待が感じられました。市場が思春期にある、とでも言いましょうか。ロスの人々が美味しいお酒を見出し、そして選別していくのは、これからなのかもしれません。そんななか、『獺祭』の味、美味しさが、ようやくここにきて認知されはじめているように感じました。

今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

 

蔵元の蛇足

西海岸に強く東海岸に弱い、通常の日本酒のアメリカでの販売パターンと違い、「獺祭」はニューヨークの売り上げが50%を占め、独特のパターンを描きます。と、いう事はロスでは出遅れているという事です。これはうちのようなタイプの他の地酒も、ロスに対しては、同様な難しさを感じます。

まだロスにおいて日本酒は、飲み辛い酒をフウフウいいながら熱燗で飲むスタイルから、やっと、香りや味わいを楽しむ日本酒もあることが理解され始めた。つまり、まだ揺籃期にあるように感じます。(とくに現地白系アメリカ人相手の和食店)

実際に良い日本酒がいくつも入っているのに、そういった白系セレブを対象にした和食店の日本酒の品揃えはまだまだ。と、いうことはいくらでも市場拡大のチャンスがある。そのあたりを現地卸のセールスミーティングで指摘した私は、説明が足りなかったせいもあり、「言いづらいことはズバッという」(好意的な評価)、「自分のとこの酒が売れてないから大文句を言う」(もしかすると正しい評価)、という見方が定着してしまいました。

うちの瓶詰場のベテランのおばちゃんが、「社長が取引先の電話に出るといけん」「すぐ喧嘩するんじゃけえ」と話しておりまして・・・・・それは表面的な見方と思っていたんですが・・・・・あたっているかもしれません。とほほ。

でも、このリポートにある通り、社長の失点を補ってスタッフが頑張り、「これから」というところまで来たようです。スタッフの皆さんありがとう。そしてロスの皆さんありがとう。

 

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