大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第三十六回 杉もと (東京都・飯倉片町)

更新日:2010.08.31|居酒屋めぐり|

http://www.azabudai-sugimoto.jp/

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大きな提灯が目印です

六本木界隈は、六本木ヒルズとミッドタウンができてから、人の流れが変わったと言われています。以前はアマンドの角を曲がって飲みに、食べに、遊びに行っていたものでしたが・・・・・・。その飯倉方面に向かって足を伸ばしたくなる場所を見つけました。2005年にオープンした和食中心の美味しいお料理とお酒のお店です。店主の杉本さんがメニューに使われている言葉をお借りして・・・・・・“激しくおすすめ”いたします。

魚と酒への本気度

店主の杉本さんは、お寿司屋さんの長男として生まれました。ですから、推して知るべしですが、お魚への思い入れは人一倍。お料理の構成は、天然の地魚(北海道産から九州産まで!)を仕入れることから始まります。新鮮さは大事ですが、魚によっては“とれたて”ではまったくダメなこともあるそうで、お魚本来の旨みを引き出すまで数日間、寝かすこともあるとのこと。調理方法も、鮮度、味ののり具合などをじっくりみた上で、旬の野菜たちと巧みにアンサンブルさせて、ほぼ2週間ごとに組み替えていくそうです。そんなお料理と合わせるお酒にも、当然のように杉本さんの厳しい目線が注がれます。
かくして、「杉もと」で『獺祭・純米大吟醸 二割三分』が“激しくおすすめ”されていることは、とてもありがたいことなのです。この日のお酒は、その二割三分ではじめました。お通しのハモの煮こごりとまず一献。次にお造りの盛り合わせと合わせていきます。鮎のお刺身・・・・・・生まれてはじめていただきました。思った以上に繊細で、やさしい味わいで、二割三分といただくと、澄んだ川の流れが目に浮かぶようでした。

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ワイングラスで
香りも味も際立ちます
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平目/アオリイカ/本マグロ
/きんき/炙り鮎

店内はカウンターとテーブル席を合わせて全部で18席。杉本さんの目がきっちり行き届く範囲に、ゆったりと配置されています。仲間とともにテーブル席で過ごすのも良さそうですが、杉本さんの料理と酒への情熱、それに関するたっぷり詰まった引き出しからのあれこれをお伺いしながらのカウンター席は、とっても楽しいですよ。ちなみに、杉本さんは趣味の人でもあり、自転車(レースに出るほど!)や日曜大工がお得意。最近はお寺で座禅をされたそうです。和食も酒も、“そぎ落とす”ものとも言えますから、禅寺での修業体験は、これから先のお仕事にも、生かされていくのではないでしょうか。

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本マグロの尾 迫力あります
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カジキの上顎も

 

心がけているのはバランス

「杉もと」のお料理は、味、香り、栄養、素材、彩りなど、あらゆる方向から熟慮されているように感じます。それもそのはず、杉本さんが第一に心がけているのが、“バランス”。ひとつのお皿の上でも、コース料理の構成でも、合わせるお酒との調和でも、大切なのはバランスであると伺いました。お酒造りでも、“バランスがとれていること”は、目指すべき最重要ポイントであるとわたしは思っています。どこかが突出しているのは、モーツァルト、ゴッホなどの芸術家には必要です。でも、お酒にはどうでしょうか。とくに、わたしなど、一杯だけで終わらないものですから、飲み続けられるのは高いところでバランスの取れた『獺祭』ということに。(笑)

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豆乳ベースの和のビシソワーズ
帆立入りです
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じゅんさいと
色鮮やかな桜人参
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自家製のからすみ
絶品でした
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鮎のたでみそ焼き
おからも美味でした

 

情報はお客様と共有します

最近はスーパーでもお魚の下処理をしてくれます。イカの皮まで剥いてくれます。ではありますが、手際良くお魚を三枚におろしたいものですよね。上記にあげた『杉もと』のホームページから杉本さんの日記(ブログ)に入ると、お魚のおろし方を写真つきで学ぶことができます。旬の野菜をどう料理するかも教えてくれています。ときどき、“これは秘密”となっているのもご愛嬌。そのほかにも盛りだくさんの情報が楽しめます。
〆の稲庭うどんとデザートのトマト・ソルベをいただき、大満足でお店を出ると、ライト・アップされた東京タワーが視界に飛び込んできました。すでにスカイツリーに高さでは抜かれてしまいましたが、シルエットの美しさ、周囲との調和では東京タワーに軍配が上がるのではないでしょうか。“これもバランス”と思いつつ、夜の六本木をしばし散策したのでした。
(写真 25 26 27)

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とろけるウニ
上品な甘さが
口の中に広がります
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稲庭うどん
のどごし爽やかです
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デザートは夏らしい
トマトのソルベ

 

今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

 

蔵元の蛇足

いかがでしたでしょう。食評論家の山本益弘さんに言わせますと、日本料理は、鮎の季節はみんな鮎、鱧の季節はみんな鱧、季節ごとにバリエーションはあってもみんな一緒でフレンチのような店ごとの個性とか驚きがない、と言われますが・・・・・

今回の「杉もと」にしてもそうですが、決してみんな一緒ではない。荒削りかもしれませんがご主人の気持ちが表れた料理です。日本料理の新しい波は東京から生まれそうですね。

なんて・・・・・

今回の蔵元の蛇足はかっこいいなぁ。あぁ、恥ずかし。

 

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