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獺祭についてAbout

獺祭磨き二割三分物語

様々なドラマを生んだ二割三分。

獺祭磨き二割三分

全ての努力はこのお酒を飲んでいただけるお客様に、この最高峰の米の磨きにふさわしい満足をお届けするためにあります。おそらく日本一と噂される米の磨きの高さから書籍やテレビなどでも取り上げられることの多い獺祭磨き二割三分は私達の間でも様々なドラマを生み出しました。

最初の精米

山田錦左:山田錦の玄米 右:歩留まり23%精製米

このお酒は最初は25%の歩留まり精米歩合を純米大吟醸として計画されました。社員総出で栽培した自社保有田の山田錦の稲穂を見ながら、「これで日本最高の精米歩合の酒を造ろう」と思い立ったのが最初のきっかけです。最初は25%の計画でした。精米機に玄米を入れて精米し始めたのを確認して出張した私に、灘のある大手メーカーが24%精白の純米大吟醸を市販してると教えてくれた方がいました。一晩考えて翌日帰りの新幹線の中から車内電話でさらに2%磨いて23%にするよう精米担当者に要請しました。すでにその時精米し始めてから6昼夜経っていました。疲れもあり、渋る彼を説得して何とかあと2%磨いてもらったんですが、その最後のたった2%を磨くために24時間かかりました。

正月搾り

西暦2000年の元旦には元旦の0時1分からこの磨き二割三分のもろみの一本を搾ってそのお酒をお客様にとどけるいわゆる正月搾りを企画しました。するとある国の元首級のVIPから新年の内輪の祝賀会用のお酒にとご注文いただきました。ところがおぼえていらっしゃいますでしょうか、2000年の一日と二日は土曜日と日曜日でした。その国は自由主義国家ですから、たとえ元首級のVIPと言えど個人的楽しみのために公的機関である通関を通すことは出来ません。結局酒蔵のスタッフが手荷物で抱えて二日の午前の飛行機でその国に飛び、お届けしたことがあります。もっともそのスタッフは、その後、夢のような二日間をその国で過ごしたようですが。

獺祭磨き二割三分は、美味しいのが当たり前。

獺祭磨き二割三分の名前の所以たる23%という米の精米歩合はおそらく米の磨き歩合としては日本最高峰と考えられます。私達は米の磨きが最高だから素晴らしいとは思っていません。この数字に満足するのではなくお酒の美味しさが日本最高であることを求めます。「獺祭って期待したほどじゃないね」この言葉が私どもの最も恐れる言葉です。華やかな上立ち香と、芳醇な味、濃密な含み香、全体を引き締める程よい酸、これらが渾然一体となりバランスの良さを見せながらのどにすべりおりていった後は爽やかな後口の切れを見せ、そこから長く続く余韻、そんなお酒でありたいと常に努力しています。

全てが磨き二割三分になるのではありません

年間には何本かの仕込みをしますが、23%の磨きの山田錦で仕込んだ全てのタンクの酒が磨き二割三分になるのではありません。残念ながらランク落ちとなる酒もいくつかは出てきます。幾年か前に、相当数の二割三分の出来が私達の期待するレベルになく、ランク落ちをした私どもの前に、反対に前年の何割増かの注文が殺到し、仕込みの不出来に落胆していた私達を感激させると共に、それでなくとも数の少ない二割三分の出荷の割り振りに大汗をかいたこともありました。

ずいぶん変わりました、だけど心は変わりません。

最初の造ってみただけの磨き二割三分から、23%という最高の精米歩合にふさわしい最高の酒を求めて、現状を良しとするのではなく、毎年自己否定を繰り返しながら、造りの変革に取り組んできました。ある方からはこの最初の年の二割三分が素晴らしかったという賛辞と共に個人的に保存されていた貴重な一本を贈っていただいたこともあります。ところがこのお酒が確かに個性的という形容詞はつきますが、美味しいのです。
ともすれば技法に走っていた私どもの酒造りへの大きな一撃でした。

ゆっくり飲んでください。

あるバラエティ番組でこの獺祭磨き二割三分が取り上げられたことがあります。番組の性格上肩の凝らない企画で、三種類のお酒の中からどれが本物の獺祭か当てると言う、よくワインであるようなお笑いあり引っ掛けありの本物当て企画でした。この放送の中である女性タレントが、「このお酒は私が今まで飲んだ日本酒のように「ウガッ」とならないから、これが本物の獺祭」と見事に当ててくれました。私達がいつも話している「良いお酒は飲んだらパッとわかるんですよ。通でなければ理解できない酒なんてないですよ」と言う言葉を立証してくれる言葉でした。だけど、それより興味深かったのは他のあるタレントが話した「このお酒は最初それほどでもなかったけど二口・三口飲むうちに段々美味しさが分かってくる」と言う言葉でした。私達は獺祭磨き二割三分に表面的な美味しさも勿論求めますが、深いところで様々な表情を見せる、そんな奥深い美味しさを求めて努力しています。 どうかゆっくり飲んでください、ゆっくり楽しんでください、獺祭磨き二割三分は様々な表情と魅力を貴方に見せてくれることと思います。

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