獺祭といえば山田錦、山田錦といえば兵庫、兵庫県は加東市の加東酒米生産者大会に行ってまいりました。勿論、主役は特A山田錦生産者の農家のみなさん。来賓は安田正義加東市長・藤井比早之衆院議員・上羅堯己みのり農協組合長他、蔵元も白鶴・白鹿・大関・剣菱などの灘五郷組、月桂冠・松竹梅・玉の光などの伏見組、地酒組も山田錦となれば必ず名の出る龍力・義侠・真澄・惣誉など錚々たるメンバー。獺祭も仲間に入れて頂いて、当日朝の新幹線で東京から新大阪入りし高速バスを乗り継いで、参加してまいりました。

大会は、例年3百名程度の参加者が、安倍政権下で林農水大臣が力技を発揮してくれた酒米の減反政策見直しの影響もあって、二階席まで一杯の5百名の入場者の熱気で溢れかえっていました。

実際に山田錦の不足が生産者達にも伝わっていて、昨年より大幅増の5万俵の生産目標が決議されるなど盛り上がった大会でした。(そうです。獺祭の名をかたって山田錦を買っていた業者も現れたぐらいですから)

ところで、その時頂いた大会リーフレットの中に興味深い表がありました。過去25年間の兵庫県山田錦の出荷数量と価格の移り変わりです。

平成6年に過去最高の335,741俵を出荷した兵庫県は、平成23年に173,152俵まで落ち込んでいます。同じく特上の価格も平成5年には31,000円を記録していましたが、平成21年には最低の24,900円を記録しています。

出荷数量はそのあと昨年の194,163俵まで伸びています。価格も21年の24,900円は三年間その価格で低空飛行した後、昨年の価格は26,400円まで上昇しています。

これを見ていると、二万俵・三万俵と毎年買い増した獺祭のせいで価格が上がってしまい、原料米価格上昇により被害をこうむっている他の酒造業者という図式が見えますが、、、、、

ちょっと言い訳させてください。

実は、この数年前の低価格の裏には、売れ残りの山田錦の引き取り手がなくて飯米の価格で売られていた現状があるからと推測しています。売れ残りというと人聞きが悪いですが、生産者側は足らなくなったらいけないという事から受注数量の1割程度は作付け面積を増やすのが通例です。この善意で増やした山田錦の引き取り手がなくて安く処分されていたわけです。この表の価格はその二つの価格の合計平均と推測されます。

そんな状況だったわけですが、獺祭が買い増すせいで、売れ残りの山田錦なんてなくなり、それどころか足らない状況が勃発してしまったわけです。その結果、飯米価格で処分していた分の価格を反映しなくて良くなり、正規の価格に近くなったと思われます。

その実情を見事にあらわしているのが出荷数量の推移です。平成6年の335,741俵から平成23年の173,152俵まで。坂道を転げ落ちるように落ちる出荷数量と価格。これで生産者に山田錦を守れというのは酷な話です。

そして、この24年25年の伸び、173,152俵は186,472俵に伸び、昨25年は194,163俵(注)に。呼応するように、24,900円だった価格も25,400円になり昨年は26,400円に。こうならないと、山田錦の生産農家を守ることなんてできません。

旭酒造はこの素晴らしい山田錦を守るつもりです。兵庫全農扱い以外や他県産を含めて約30万俵と推測される山田錦の全国生産量を最低でも60万俵(出来れば100万俵)まで押し上げて獺祭の供給も確保し、結果として日本の農家の健全な成長のお手伝いをする。

山口県の山奥の小さな酒蔵の大きな挑戦を見ていてください。

(注)昨年、3万俵位は作付け面積を増やしたと担当者からはお聞きしてたんですが、、、、、結果として実際は手に入りませんでした。これが入っていればこんなに獺祭が品不足にはならなかったと思いますが・・・・・。

以上は、蔵元の愚痴です。(男らしくないですねぇ。すいません)