大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第二十回『とゝや魚新』(東京・赤坂)

更新日:2009.01.24|居酒屋めぐり|

HPは ⇒  http://www.uoshin.ne.jp/Totoya.html

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すでに文化の香りが漂う玄関

2008年、赤坂TBS周辺は大きく変わりました。赤坂に桜と人の花を咲か そうとの願いを込めた赤坂サカスというネーミングもあたったのか、人の流 れも変化したと言われています。料亭がひしめき、政財界の御仁がお忍びで 通う夜の街という赤坂のイメージも今は昔、でしょうか。そんな赤坂の一郭で、 100年以上前に魚屋を開業、赤坂花柳界の仕出屋を経て、28年前、満を 持して和食店として創業した「とゝや魚新」に、伺いました。東京ミシュランで 星ひとつに輝いた名店です。

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簡易スケートリンクも

 

「手」
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目にもうれしい八寸

夜のお料理は、懐石のコース。しばしの間、季節感あふれる旬の素材が、 絶妙の味に調理され、彩りも鮮やかに次々と運ばれてくる楽しさに酔いしれ ることにいたしましょう。あん肝、ばい貝の鱈子和え、姫大根、カニミソのしん じょなど、美味しいものを少しずついただきながら、お酒はいただく。これぞ 至福のとき。『獺祭・磨き二割三分』がすいすいと進んでしまう・・・・・・この危 なさがまた素晴らしい。(すみませんっ)

料理長である山本正明氏の旬を選ぶ確かな目、卓越した技術、食と酒と 人への深い理解と愛情によって繰り出されるお料理をいただいてわたしが 感じていたのは、「手」の大切さです。手間ひまかける、手数を惜しまない、 手を抜かない、手を尽くす・・・・・・。「手」を使った慣用句がどんどん浮かんで くるのです。これらの言葉は、『獺祭』を飲んでいるときにも出てきます。 「とゝや魚新」のお料理と『獺祭』が、まるで惹きつけ合うようにしっくりと相性 がいいのも、もっともなことですね。

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感動もののお造り
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この徳利で出てきます

 

温度管理

わさびの花が添えられた、さより、鯛、めじまぐろ、平目に墨イカ、ウニのお 造りのあと、雌の松葉ガニを使ったご飯がでてきました。薄赤い甲羅に包ま れたご飯には、カニ肉と卵が炊きこめられていて、ほんわかとホッとするよう な香りと味に思わず言葉を失うほど。香箱飯(こうばこめし)という風情ある 名付けもステキです。続いて雄の松葉ガニ。こちらは、カニ酢などは使わず に足の部分をそのままいただきます。調理してからしばらく待ち、食べるのに 最適な温度で提供されているため、余分な調味料は必要ないとのこと。なん となめらかな食感、なんと繊細な風味!追加してお願いした『獺祭・磨き二割 三分』も、10〜12度ほどの理想的な温度で出してくださる心遣いはさすが でした。飲み物や食べ物の温度管理が、とても大切だということを改めて実 感させていただきました。

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カニの中を観察!
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優しい紅色の甲羅
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最適な温度に調理されてます

ミシュラン効果で、新しいお客様が増えたとともに、昔のお客様が戻ってき てくださったと山本料理長は顔をほころばせました。一時期、通っていたお店 でも、何らかの理由で足が遠のくと、ふたたび扉を叩くのはむずかしいもの です。それを引き戻したのは、メディアの影響もさることながら、やはりお店 の力だと思うのです。この夜、カウンターには常連のご夫婦がいらしており、 日本酒がお好きと聞きつけ、思わず『獺祭』をオススメして一緒に一杯飲ん でしまいました。“うまい酒ですねえ!”と、うれしいコメントをいただきました。 わたしのような『獺祭』ファンが、このお酒から遠のいてしまうような何らかの 理由は、決して決して起こらないだろうと願い・・・…いえ、確信するのでした。

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甘鯛の蕪蒸しには発泡にごりを
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カウンターの中の山本料理長

 

満ち足りる

〆のご飯は、もずく雑炊、のり茶づけ、鰯茶づけなどなど、お好みで選ぶこ とができます。香ばしいほうじ茶とともにサラサラといただきます。デザートの ういろうには濃い茶が添えられます。雑念や疲れ、もやもやした思いなどが からだの中から一掃されるような爽快感にいやされ、満足とはこういうもの かと堪能したのでした。

「とゝや魚新」にはランチもあります。自慢の焼き魚定食、季節の味を 盛り込んだ炭籠弁当など、充実のメニュー。もちろんお酒も飲めちゃいま す。ゆったり過ごせる空間を保つため、個室を含めて総席は21席なので、 お昼も夜も、予約の電話をかけてお出かけしたほうが良さそうです。 皆様にも、懐石と『獺祭』の奏でる美しいシンフォニーを聴いていただ きたい、そう思いつつ、冬の赤坂を、ひとり歩いて家路に着いたのでし た。

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香ばしく美味しい鰯茶漬け
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手づくりのういろう
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一客一亭 料理長と著者
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瓶詰めのお土産、じゃこ山椒

 

今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

蔵元の蛇足

ミシュランの一つ星をとりましたけど、考えてみればそれが当たり前のような店でした。「ミシュランなんて・・・・・」といわれるのかと思ったら、 文中にもありますように、「星を取ったことによってありがたいことに、 古いお客さんからまた声をかけていただくことが多いんですよ」と山本料理長。あくまで謙虚なんです。素晴しい。見習わなきゃ・・・・・「でも あんなに簡単に、褒められるとすぐ調子にのってる様じゃ、道は遠い」(旭酒造社員談)

(蔵元 桜井博志 記)

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