大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第五十二回 別亭 神田新八 (東京・京橋)

更新日:2013.07.23|居酒屋めぐり|

http://r.gnavi.co.jp/gafa001/ (ぐるなびより)
http://www.kanda-shinpachi.com/index.html (神田新八ホームページ)

 何を隠そう、わたしは神田で生まれ、神田で育ちました。社会人になりたてだったころ、仕事を終えて神田駅に着くと、そこは一杯やるゾというビジネスマンで溢れていました。彼らが吸い込まれていくのは、言うこともやることも青かったわたしにはとても入れないような居酒屋でした。あれは「神田新八」だったのかもしれません。そう、”今に粋な女になって「神田新八」のようなカッコいい居酒屋に行ってやるゾ”と、思っていたものです。それからずいぶんと月日が経ち……粋な女になれたかどうかはさておき、カッコいい居酒屋、はい、通ってます!!
さて今回の居酒屋めぐりですが、今、まさに話題に出た「神田新八」本店、はたまた新丸ビル内の「酒亭 神田新八」にもかなり食指をそそられたのですが、わたしが訪れたのは、日本文化の歴史を今も街並みに残した京橋の地に、この4月にオープンしたばかりの東京スクエアガーデン内にある「別亭 神田新八」です。ご存知の皆さまも多いと思いますが、東京スクエアガーデンには「獺祭bar 23」もあるのですが、居酒屋めぐり的にはどうしたって「神田新八」となるわけです。はい。

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日本の季節と風土を考えた料理、それに合わせた酒を

 『獺祭』、そしてお酒を愛する皆様にお読みいただいているこの場ですので正直に申しますが、何年か前まで「神田新八」には、『獺祭』は置かれていませんでした。ならば『獺祭』好きのわたしからは縁遠かっただろうと思われる方々もおいでかもしれませんが、それが違うんです。本店は数回ですが、新丸ビルの「酒亭 神田新八」は何度も伺いました。なぜかというと、お料理が美味しいんです。それもとびきりに。(笑) ありがたいことに、本店、酒亭では少し前から『獺祭 純米大吟醸 50』が常備されるようになったそうで、こちらの「別亭 神田新八」には50に加えて『獺祭 純米大吟醸 三割九分』もあるそうなので、楽しみです。

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「別亭 神田新八」がお料理についてこだわっている点は多々ありますが、一番のポイントは季節の食材をつかうこと。日本は四季のはっきりした国と言われていますが、実はこの四季、昔からもっと細かく、二十四節季に分けられていました。これは古代中国で考案されたそうですが、日本の風土に合わせて江戸期に改定されたのが現在の”本朝 七十二候”です。「別亭 神田新八」では、この”本朝 七十二候”に沿って、ほんのわずかな季節の移り変わりにも気を配った食材、料理法が選ばれています。お魚は天然もの、料理酒も純米酒しか使わないという本物志向がカッコいい。この日はカウンターに案内していただき、まずは三割九分からいただきます。ワイングラスで出してくださるので、フルーティな香りを存分に味わうことができて嬉しい限り。お通しは馬肉のたたきと人参のすり流し。新鮮な馬肉の品の良い旨みが口中に広がり、まろやかで味わい豊かな『獺祭 三割九分』との相性も素晴らしく、”ああ、美味しい”とひとりごと。仕事の疲れなど、どこかに飛んで行ってしまうと思います!!

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日本の食と酒は文化・芸能とともにある

 先ごろあたりから、国の肝いりでクールジャパン戦略が叫ばれていますが、日本には古くからあるカッコいいものがたくさんあります。歌舞伎、能、日本舞踊、和歌に俳句、落語、三味線やお琴・・・・・・そんな日本固有の文化は、そもそもわたしたち日本人の身近にあって日常的に触れることができるものだったはずですが、時代の流れとともにかえって取っつきにくいものになってしまったように思います。「別亭 神田新八」は、日本の伝統文化を、食・酒とともにお客様に伝えるための場所でもあります。店内に設えられた舞台では、寄席、幇間芸などに楽しみながらのお酒の会もすでに企画され、たいへん好評だったとのこと。さらに、7月下旬には芸者さんの演舞とともに新八のお料理とお酒を愛でる”京橋踊り”の会も開催されることが決まっています。わたしが伺った日も、「神田新八」の女将さんが三味線をご披露されていました。こういった試みはとても価値のある素敵なことです。これからも応援させていただきたいと思います。

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懐の深い日本酒の世界

 さあ、美味しいお料理とお酒を存分にいただきましょう。まず、海の幸をふんだんに取り入れた色とりどりのお刺身の盛り合わせから。平目の上品な甘さ、〆たスズキの感触が素晴らしい!! ふくらみと味わいのバランスが取れた三割九分を口に含むと、食と酒が互いをひきたて合うハーモニーを感じます。

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旬のメニューからは、初夏の煮野菜 冷やし鉢。それぞれの野菜の味が生かされた一品。ゆずとジュンサイの餡がさわやかさを演出していて、猛暑の憂さを癒してくれます。三割九分の切れの良さ、感じられます。

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インゲンの胡麻和え、オクラとコーンの入った揚げたてのさつま揚げ、焼き魚でいただいた太刀魚はふっくらと柔らかく繊細な味わいでこれまたお酒が進みます。お酒は『獺祭 純米大吟醸 50』に変えてみました。これがピッタリ。すっきりしているけれど飲みごたえのある50は、食中酒としても本領を発揮してくれます。

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そして、お料理の美味しい居酒屋に来て忘れてならないのがポテトサラダ。「神田新八」のポテトサラダは、ゴロゴロしたジャガイモが入っているのが楽しいです。店長の中本さんにオススメのお酒をお願いしたところ、出てきたのは『ひこ孫 小鳥のさえずり』純米吟醸のぬる燗でした。絶妙の温度で饗された燗酒に、思わずふぅっとため息がもれました。日本酒ってやさしくて懐深いとあらためて感じました。次に来た時は、中本さんに『獺祭』のぬる燗もお願いしようと心に決めたのでした。

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〆のたまごかけご飯をいただいているうちに、広々とした店内はほぼ満席。ビジネスマンの多い京橋ですから男性比率が若干、高めですが、女性のみのグループも見受けられます。素晴らしいお酒のあれこれを存分に揃えた大人が楽しめる安らぎ処として「別亭 神田新八」が人気を集めているのは、とても自然なこと。わたしも笑顔でお店をあとにしました。朧月の夏の夜、わたしの足は自然と神田方面へ向かっていきました。若くて青かったあの頃のことを思い出しながら……。

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今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

蔵元の蛇足

良い店ですよねぇ。実は偶然にも、つい最近、新丸の「神田新八」に行ったばかりです。昔は獺祭は置いてなくて、どうしても、顔を知ってる店の方と会うと、お店側の人も構えてしまわれるようで、気を使われるのが嫌で寄らなかったんです。しかし、最近オンメニューしたとスクエアガーデン店の店長から教えてもらい、気楽に行けるようになったわけです。
なんと、、、しかも、、、「獺祭モヒート」なるカクテルもあるという急速な進歩ぶり。さっそく飲んできましたけど、清涼感もあって、最初のとりあえず一杯はこれで良いや思った次第です。
大平さんも「獺祭モヒート」は知らないでしょう?  なんて、、大したことじゃないか。

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