大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第五十五回 OKUDA (フランス・パリ)

更新日:2014.03.11|居酒屋めぐり|

OKUDA (フランス・パリ)
http://www.okuda.fr/jp/news/

 飲食のジャンルで、スシを筆頭に和食は世界でもっとも注目を浴びているものの一つです。世界文化遺産に登録されてからは、メディアもずいぶん取り上げるようになりました。とはいえ、本当に美味しい懐石料理を遠い異国で味わうのはけっこう難しいものです。そんな折、ミシュランで三ツ星をずっと取り続けている、あの、そうまさにあの「銀座 小十」の奥田透氏が、2013年の秋、パリに本格懐石のお店「OKUDA」をオープンされました。お魚などの食材はどうされているのか、お水は、お酒は・・・・・・と、お聞きしたいことが山ほど! ならば、えいっとばかりにパリに行っちゃいました。だんだんと肌寒さが増してきた晩秋のことでした。

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パリにいながら日本を旅する!

 一流の和食に必要なものはなんでしょう。味を決める料理人の腕、素材の質や鮮度、さりげないなかで行き届いたサービスは言うまでもありません。店内の美しさとともに日本の文化がそこにあるかが重要です。料理とともに一環とした調和あるものとして、お客の五感に文化を訴えることができるかが問われます。「OKUDA」には、パリにそれがあるのです。和食の世界の神髄を味わいたいというフランスの人々は、半日以上、空を旅することもなく、パリにいながらにして日本を、そして一流の和食を楽しむことができるのです。のれんをくぐりさえすれば、そこに日本の文化があるのです。

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1階はカウンター7席と個室のテーブル席、地下にはアレンジ可能なテーブル席と4つのお座敷がありますが、季節の花が店内のそこかしこに活けられていることに癒されます。この日、わたしは幸いなことに、カウンター席につくことができました。お料理はお任せのコース、お酒は『獺祭EU50』をお願いしました。この『獺祭EU50』 、50%精米の山田錦からできている点は日本国内の『獺祭 純米大吟醸 50』 と同様ですが、アルコール度を14度に下げて造られているヨーロッパ向けのものです。アルコール度数を下げると、味わいも下がってしまいがちと聞きますが、きちんとコントロールされているあたりはさすがです。アルコール度数が低い分、たくさん飲んでも大丈夫ですよね。(笑) コースの一皿として、伊勢海老、アワビとお野菜の目にも鮮やかな和え物が、青みがかった透明感のある白い器に盛られて出てきました。魚介と野菜、それぞれの素材が持つおいしさが心地よいハーモニーを奏で、品のいい香りとやわらかい甘みをもつ『獺祭 EU50』がさらに旨みを引き出す役割をはたしています。ああ、美味しい。さて、この白い器は、美濃焼で加藤 委さん作。奥田さんが日本から運んだ食器、酒器のうちのひとつです。食器や酒器によって味わいは変わりますし、感動の伝わり方も違います。「OKUDA」では、「銀座 小十」と同様に、秀でた器の数々を楽しむことができます。

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次のお料理は、イチョウガニの茶わん蒸し 茸あんかけ。こちらも『獺祭』と好相性で、わたしの幸せ感は増していきます。そしてさらに、松茸と鯛にゅーめんのお吸い物のすばらしい香りと繊細な味わいに恍惚となってしまい、もはや自分がパリにいるのかどうか判じがたくなるほどなのでした。

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禁じ手のキャビアの使い方

 テレビ東京「ガイアの夜明け」をご覧になった方はご存知だと思いますが、「OKUDA」パリ店オープンまでには幾多の困難があったそうです。内装工事の大幅な遅れ(フランスの職人さんたちのバカンスはとーっても長いらしく……)にはずいぶん苦労なさったとか。それより何より、魚をはじめとした食材調達の大変さは現在も続いているのではないでしょうか。お出汁をひく水も硬水では目指すところにはいかず、赤ちゃん用の飲料水を大量に仕入れて対応されているそうです。そんななか、奥田さんは、本物の和食を伝えるために、パリでは敢えて"フォアグラ、トリュフ、キャビア"を禁じ手にすると決意。それでも、オープン後、どうしても白身のお魚のクォリティに納得できず、やむなしとキャビアを白身魚のお造りの横に添えることにしたのです。この日、わたしがいただいたお造りは、カレイ、イカ、メアジ。キャビアをのせたカレイには、海の潮の香りを感じました。これが実は『獺祭』と最高のマッチングで驚きました。そういえば、旭酒造の蔵を訪れたこともある著名なソムリエ、オリビエ・プシェ氏は言っていましたっけ。『獺祭』は海の香りがすると。そういうことなんですね。

イメージさて、次は炭火でじっくり焼いたスズキの塩焼きです。この美味しさをどう表現したらいいのでしょう。焼き手の若いシェフの丁寧なお仕事ぶりが感じられ、ひと口ごとにありがたい気持ちになっていきます。そして、いよいよ肉料理は牛ヒレの味噌幽庵焼き。せっかくパリにいるのですから、ずっと『獺祭』にこだわることもないと、マネージャーでソムリエの飛田さんにワインのチョイスをお任せしました。飲みくちがスムーズでほのかにスパイシーな赤ワインは、肉と味噌の旨みをギュッと引き締めてくれて、女性には量が多いと思った肉料理もするするとお腹におさまっていきました。決してわたしが大食いだからではありません。美味しい飲み物は食を進めるのです。はい、きっぱり。

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〆は、外側をさくっと、中はフワッと炭火で焼かれた厚みのしっかりしたフランス産のウナギを酢飯と一緒にいただきます。ここのところ日本ではウナギにお目にかかる機会がめっきりと減っていたこともあり、嬉しい〆ご飯です。ニューヨークのお鮨屋さんでは、ウナギより断然、アナゴと思っておりましたが、パリの「OKUDA」では何と言ってもウナギですね!!

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ミシュラン獲得!

 「銀座 小十」は、日本にミシュランガイドが上陸して以来、ずっと三ツ星を取り続けている素晴らしいお店です。そのパリのブランチが「OKUDA」。いずれ星を取ると確実視されてはいましたが、なんと先日、発表された2014年のミシュランガイドで、早くも一つ星を獲得しました。オープンわずか数か月後にして認められるまでに完成度を高めるのは、たやすいことではなかったはずです。心から祝福させていただきます。これからはパリのみならず、ヨーロッパ中の和食ファンをとりこにしていかれることでしょう。パリで認められてこそ世界に胸を張って和食を発信できると、奥田さんはおっしゃっていましたが、これは『獺祭』の蔵元の考え方と共通しています。『獺祭バー&ストア フランス』のオープンは今夏予定。険しい道を開拓している真っ最中の先駆者「OKUDA」に続き、その道を進んでいくこととなります。和食、そして和の酒『獺祭』の美味しさが、世界の人々に広く伝わることを願ってやみません。

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今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

蔵元の蛇足

もとより銀座小十の素晴らしさは、何度も訪れて、店の客としても感嘆する事ばかりですが、パリも初年度から一つ星とは快挙ですね。

獺祭も、この秋には既存店舗の改装も終わり、フランスパリの獺祭パリ店が開店する予定です。皆様、この冬からのパリ旅行は獺祭パリとOKUDAと二晩のディナー(ランチでも)を予定してください。絶対、満足しますよ。

 

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