文責:広報 千原

 

 

3月8日、よく晴れた暖かい日、私たちは福岡県朝倉市にあるウィング甘木さんを訪ねました。

こちらには「最高を超える山田錦プロジェクト2020」で120のエントリーから見事グランプリを勝ち取ったお米を栽培された、北嶋将治さんが所属されています。

北嶋さんを始め、松岡吉寛社長や社員の皆様に明るい笑顔で出迎えていただきました。

松岡社長は「行政や組合に頼ってばかりいてはダメ。農家はよりいいモノを作る、そうすれば売れる。横並びで同じだけ儲かる、という農業のシステムが機能していた時代とは今は違う」と熱弁。

私は以前、栃木や岡山の山田錦生産者さんへ訪問したことがあるのですが、その際も皆さんおっしゃることは同じ。勢いのある農家さんは同じことを感じ、日々危機意識を持って努力をされているのですね。

 

 

表彰状を手に改めて「若いもんが喜んで、楽しんでくれている。それが何よりうれしい」という北嶋さん。

梅干しを田に入れ、種まで微生物が分解しきる速さで田んぼの力を確認したり、肥料として海藻を入れてみたりと工夫されたと言います。「自然は山から海へと循環している。栄養分を田んぼに戻してあげるイメージです。化学肥料より、やはり自然の力が強いんです」。

良い山田錦をつくるためには、根がしっかりと強く張っていることが大事ですが、収穫間近で弓を描くようにしなる稲が持ちこたえる姿に、自然の力強さを訴えかけられているように感じるのだそうです。

山田錦を育てていると、人がコメを作るのではなく、コメに人が育ててもらっている、と感じると笑いながらおっしゃられていました。

自然と向き合う謙虚で真摯な姿勢に胸を打たれました。

 

 

(山田錦を植える前の小麦畑の前にて。コメの前に植える作物の出来の良さは今年のコメの品質の指標になるといいます)

 

 

北嶋さんの夢

そんな北嶋さんの夢は「一粒がおむすびサイズの山田錦を作ること」!!

「10年20年ではできないけれど、そんなものが本当にできたら、どんな食感になってどんな味になるんだろう。夢があって楽しいじゃないですか」と。

少年のような純粋な好奇心とベテランの腕・・・いくつものお米の賞を獲得されている北嶋さんの実力の根底にあるものを垣間見た気がしました。

農家は一年を通して地味な日々の繰り返しだからこそ、ちょっとした「アソビ」を大事にして、チームで楽しみながら働くことを大事にされているそうです。

やはり一人ではできない農業ですから、仲間たちとのコミュニケーションが日々大切です。そして、だからこそ、北嶋さんのグランプリ受賞は社員の皆様や近隣の生産者さんへも刺激になっているはずです。

 

 

お米がつなぐ縁

実は、ウィング甘木さんを訪れる前、北嶋さんの幼馴染みの方がやっていらっしゃるお寿司やさん「福よし」さんへお邪魔しました。

北嶋さんのお米を使った絶品のお寿司を頂き、獺祭も飲めるお店です。

「福よし」

所在地: 〒838-0064 福岡県朝倉市頓田456−2

電話: 0946-24-4879

実はこの大将、弊社社長の桜井一宏がNYでお世話になった飲食店関係の方の弟さん。お米がつなぐ縁に感動します。

北嶋さんにとっても、自分が収穫して送りだしたお米を存分に生かして調理し、お客さんに提供してくださる飲食店さんの存在はやはり大きいそう。

そんな方が地元の幼馴染であり、今も非常に高いレベルで切磋琢磨しているのは素晴らしい関係だと思いました。

最後に

 

私たちも、生産者さんが収穫して届けてくださった米を使って獺祭を醸し、実際に飲むお客さんへ紹介してくださる取り扱い店さんへとしっかりとバトンを渡していかなければと強く感じました。

これだけの方々の労力と想いがのったお米を半分以上精米して削り発酵させて、液体へと形を変えていくのですから、責任も重大です。

 

ウィング甘木さんでは山田錦の田植えは6月下旬ごろ行われる予定です。

今年も素晴らしいお米を作ってくださるのを、楽しみにしております。