福岡県ウィング甘木が3年ぶり2度目の優勝
最高を超える山田錦プロジェクト2023 優勝賞金3,000万円を獲得
2024年1月12日(金)、旭酒造株式会社が帝国ホテル東京にて、5回目となる「最高を超える山田錦プロジェクト」2023年度グランプリの表彰式を開催。
福岡県の農業法人・株式会社ウィング甘木が、3年ぶり2度目となるグランプリの受賞を果たしました。
同氏の造る山田錦は粒が大きく揃い、心白が中心部分に小さく入り高精白に耐え得る酒米で、獺祭の求める基準に合致していると、全審査員の高評価を得て受賞となりました。
今回で第5回を迎えた山田錦プロジェクトですが、同じ生産者が2度目のグランプリを受賞するのは初となります。
また、本年は元旦から痛ましい能登半島地震がございました。冒頭会場の皆様と3分間の黙祷を捧げ、開式となりました。
グランプリ 賞金3,000万円
福岡県朝倉市 株式会社ウィング甘木 北嶋将治(きたじま まさはる)氏
受賞コメント:
「前回優勝時とは、違う内容にするため一から考え直して、とことんまで突き詰めていつも山田錦を作っていた。いつか会長・社長(旭酒造)に一粒がおにぎりサイズの山田錦をお持ちすることを目標にこれからも頑張っていきます」
準グランプリ 賞金1,000万円
岡山県岡山市 有限会社国定農産 国定 俊彦(くにさだ としひこ)氏
受賞コメント
「名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。支えてくれた仲間や家族に感謝の気持ちでいっぱいです。来年は必ずグランプリを獲ります!」
■表彰式の様子
「農業では頑張っても報われるシステムになっていない。」 社長・桜井一宏の冒頭あいさつでは、”本コンテスト開催は日本の農業に対する課題意識がきっかけだった“と説明がありました。パネルディスカッションでは「日本の農業の課題」をテーマに、漫画家の弘兼憲史様・参議院議員の中田宏様・農家の海老原秀正様・旭酒造会長の桜井博志が討論しました。今回は、農業に興味を持つ学生も17名参加しました。
■パネルディスカッション
表彰式の前に、行われたパネルディスカッション。
「日本の農業の課題」をテーマに討論しました。
今回の「最高を超える山田錦プロジェクト2023」表彰式の司会を務めていただいた、松井康真様にパネルディスカッションのモデレータ―も務めていただきました。
司会・モデレーター 松井康真様
旭酒造会長の桜井が弊社代表として登壇しました。「農家にやる気と希望を持ってもらうことが大事」、「日本の農業が進化しないのは、農協や農政のせいもあるが、訴えかけない農家や、現実的に経営が成り立たない小規模な農家をセンチメンタルな感情で支えようとするメディアや日本社会に原因があるのではないか。」と桜井の考えを伝えていきます。
参議院議員の中田宏様にも参加いただき、政治家の観点からお話をしていただきました。
冒頭に「学生の皆さん、いい日本酒を飲まないといけんぞ!」と会場を盛り上げていただきつつ、「農協改革は政界においても大きな課題」とおっしゃっていました。「コスパより、パコス。これは日本人全体に求められてくる。コストパフォーマンスを求めるよりも、質の良いものをつくったら、高く評価してもらえるような“パフォーマンス・コスト”の仕組みを作っていくべき。それを日本人全体が当たり前とする世の中にしていかないといけない。」と農業の課題について熱く語っていただきました。
参議院議員 中田宏様
山田錦栽培研究書の海老原秀正様は、農業の問題点として「高齢化」をあげられていました。まだ決まったお話ではありませんが、海老原様の母校の農業高校が田んぼをお持ちで、そこで高校生に山田錦をつくってもらえないかと考えているそうです。「高校生のときに自分たちが作った山田錦を獺祭に使ってもらって、成人したときに飲めたら、そんな幸せなことってないですよね」と海老原様。
山田錦栽培研究所 海老原秀正様
そして、漫画家で山田錦プロジェクト特別審査員の弘兼憲史様にもご登場いただきました。
「農家」と「農協」の関係を「漫画家」と「編集者」に置き換えて、分かりやすく農協の仕組みを説明。弘兼様は弊社のニューヨークにオープンした酒蔵についても織り交ぜながらお話してくださいました。海外に取材に行かれることも多く、現地の事情も把握されているので、「世界からみても日本は食品が安い。もっと世界の基準に価格を合わせてもいいのでは」とまた違った視点から問題提起をされていました。
また、今回の山田錦プロジェクトでは、参加者全員に弘兼憲史/著 漫画『黄昏流星群』67巻を弘兼様のサイン入りで配布しております。弘兼様は本書を描くにあたって、山田錦プロジェクト2020 グランプリのウィング甘木様を取材をされています。そんなご縁もあり、今回ウィング甘木様が2度目のグランプリ獲得と発表されたときは本当に驚かれていました。
総評では、「皆で日本の農業を応援しようではありませんか」と締めくくりました。
黄昏流星群 67巻
漫画家 弘兼憲史様
パネルディスカッションの様子
今回は初の試みとして、農業に興味のある学生17名にも全国から参加していただきました。
学生のテーブルに、農家の海老原寛明様・旭酒造社長の桜井一宏がそれぞれ同席しました。表彰式後の懇親会では、皆様、積極的に農業について質問していました。こういった熱心な若者が日本の農業の未来を切り拓いてくれると思うと、この先が楽しみです。
山田錦栽培研究所の海老原寛明様
旭酒造社長の桜井一宏
パネルディスカッションを聴講している、真剣な表情の学生
開会の挨拶をする社長の桜井一宏
■「最高を超える山田錦プロジェクト」とは
全国の山田錦農家に今までの山田錦を超える品質に挑戦していただくコンテスト。グランプリ米は60俵3000万円という市場価格の25倍の賞金を贈呈。2019年から始まり、前回は熊本県の水穂やまだ様がグランプリを受賞。
今回2023年のエントリー数は144件。昨年の倍の農家の皆様から応募がありました。
■会長桜井博志の想い 蔵元日記vol.554【最高を超える山田錦プロジェクト】
■会長桜井博志の想い 蔵元日記vol.556【山田錦値上げ】
■会長桜井博志の想い 蔵元日記vol.558【能登半島地震】