ネットやテレビのニュースで日本の名目GDPがドルベースでドイツに抜かれて第4位に転落したと伝えられていました。消費者の節約志向で個人消費が伸びないことが第一の原因のように言われています。でも、節約志向がGDPの落ちた主原因のように言われるの、何か抵抗ありますね。間違ってません?

アメリカに住んでみると確かに日本の消費者は節約志向だと思います。しかし、これは良い事のように思えませんか。無駄なものにお金をつぎ込んでも仕方ないんだから。日本社会全体がアメリカなどと比べると節約型であるのは確かです。これは日本経済の強さの主要因だったと思います。日本は住宅政策の失敗で、国民は働いても働いても後に残るのはくたびれ果てたウサギ小屋にもかかわらず、つつましく節約しながら国を支えてきたんです。それを、、節約志向が悪者のように言うなんて!!!

実は私は、この第4位転落の真の理由は別にあると思っています。それは私が蔵元として感じてきた酒業界の生きづらさと同質のものではないかと思っています。獺祭のように、成長する酒蔵に対しての風圧の強さ。「大きくなるのは何か悪いことをしてるに違いない」みたいに「成長することに対する拒否感」を周囲から常に感じてきました。

これが日本のGDPが伸びない真の理由と思います。つまり心の奥底で進化に対して拒否感を持っているのですから伸びるわけない。日本人が持っている「縮み志向」が問題なんだと思います。特に、この感覚は地方そして伝統産業において顕著です。地方が都市部と比べて経済の発展が遅いのは規模もあるでしょうがこのあたりの考え方の根本が違うのではないでしょうか。

高度経済成長時代はよかったんでしょうね。地方は切り捨てても大企業が伸びれば日本経済は支えられる構造だったのでしょうから。しかし近年、冨山和彦先生も言うように、ローカル経済こそ日本を支えているんです。そう考えると、ここをみんなで変えないといけないということがお分かりと思います。

悩ましいのは、この縮み志向が、獺祭が主張している「手間」という概念の裏側に隠れていることです。「手間をかければいい」と能率を無視して昨日と同じことをすることを良しとしたり、結果と関係なしに只々複雑な仕上げをしたりすることです。それは、私がある意味、獺祭で乗り越えようとしてきた日本の農村社会の欠点なのです。

とにかく、節約志向をやめて使う事ばっかり考えるんじゃなくて、今大事なのは稼ぐ力を増やすことです。

ということで、私が思うのは、節約志向を標的にするんじゃなくて、縮み志向を標的にすべきです。世の男性諸君、全国のお母さんや奥さんに「こんな無駄遣いをして」と怒られてもそれに倍する収入を目指しましょう。間違えました。男だけでできるわけない。がんばりましょう、日本の大人たち。次世代を担う子供たちに素晴らしい日本を残そうじゃないですか。