トップ > 獺祭 登龍門 > 河嶋行太・財間竜太

獺祭 登龍門DASSAI Artisanal Inception

獺祭 登龍門 河嶋行太・財間竜太

担当ペア河嶋行太・財間竜太

河嶋行太
河嶋行太
大学時代はバトミントンや筋トレばかりしていたスポーツ系です。入社3年目となり日常業務で何本か発酵過程の管理をさせていただけるようになりました。 その経験も活かして発酵経過だけでなく、製麹や洗米まで手を伸ばして少しでも美味しい酒を自らの手で造りたくて参加しました。
財間竜太
財間竜太
3年間上槽チームに所属しています。上槽での仕事しか行ったことがなく、他の部署の仕事は軽く触る程度しか知らなかったのでこの機会に学びたいと思い、そしてせっかく自分で一からお酒を造るチャンスがあるのだから、参加しなければ勿体ないと感じて参加しました。

―今回のペア2人は同期の仲間とお伺いしています。同期で「登龍門」に取り組んでみてどうですか?

財間:凄くやりやすいです。どちらかが主体となって引っ張るというより、2人で気軽に意見を出し合いながら、協力して出来たと思います。

―今回お二人が参加した理由はなんですか?

河嶋:昨年、初めてクラフト獺祭(現:登龍門)を先輩と取り組ませていただきました。3年目となり、日々の造りの中で、自分の考えが出てきたのでそれを実践したいと思いました。

また、自分自身日本酒が好きなので、自分の造った酒をネタに日本酒好きを増やしたいという密かな狙いもあります。

―財間さんは?

財間:入社してから、上槽チームで出来たお酒を搾るという最終工程の1つに関わってきました。そこに至るまでの工程を一から学びたいと思い参加しました。そしたら偶然同期と組むことになりました。

―そんな同期ペアが表現する「登龍門」。当初の目標は?

河嶋:ペアの財間がお酒をあまり飲めないので、普段飲めない人にも受け入れやすいものという前提で、アルコール15.5℃くらいで軽い飲み口を意識しました。また、甘くなり過ぎないようにしようと決めました。

―甘さを抑えようと考えられたのはなぜですか?

河嶋:蔵人で、甘すぎる日本酒が苦手という人がいて。一概に甘口だと飲みやすいわけではないんだなと思いました。アルコール軽めで、やや辛口という味を目指しました。

財間:普段三割九分を飲んでいる人からすると、少し軽やかに感じる味わいを目指しました。

―目標達成の為に工夫した所・気を付けた所はどんなところですか?

河嶋:製麹時の麹の力価を意識しました。

米のデンプンを人が甘みを感じる糖分(グルコース)にしっかり分解してくれる成分をもった麹を作りたかったので、通常より麹の水分を飛ばすようにしました。

麹の水分が少なめだと、デンプンからその糖分を分解する酵素が強いものが出来ます。

財間:製麹の工程は洗米から5日余りで完成ですが、非常に重要な工程だと実感しました。

―ちなみに、今回お二人が「酒母」を特殊な場所で挑戦していた。と他の蔵人から目撃情報を入手したのですが…

財間:その話ですか~!僕たちは酒母の仕込みをグレーチングの上で行いました。

―グレーチング・・・とは?

財間:側溝のフタといったら想像し易いですかね?鉄格子状のものですが、通常使用する酒母室を出た所にあるスペースがグレーチングの床となっています。

そこで酒母の仕込みに挑戦しました。

 

河嶋:酒母の仕込みは、低温下で酒母自体の温度を10度くらいで保たなければなりません。そのために、アンカ(こたつの熱源のような器具)をタンク下に入れるのですが、床がグレーチングだと、隙間を伝ってその熱がいい具合に全体に循環されて丁度良い温度で一定に保てるのではと考えたからです。

蔵長にそのことを話したら、「無謀だ」と言われました(苦笑)

それでも自分たちのアイディアを試すことの出来るチャンスだと思ったので、色々勉強になりました!

※グレーチングイメージ

―結局、それは成功したんですか?

財間:ん~、一概に成功したとは言い難いですが、2日まで温度が安定していて、アンカを切った途端、一気に温度が下がってしまい…これが酒母の難しさだと実感しました。

河嶋:何度か同じ条件下でテストをすれば、調整も安定して出来そうです!(自信満々)

―おっ、何やら自信の表情ですね。そういえば今回のクラフトに使用したお米って何処のものですか?

河嶋:2022年度の山口県産を使用しました。

―比較的新しいお米ですが、こちらを選んだ理由は?

財間:うちの山田錦プロジェクトでも審査基準となっていますが、心拍が小さく割れにくいものを探していて精米チームに相談して、選びました。

ただ、このお米で仕込んだデータが全くないものでしたので、そこも選ぶ上でポイントになりました。

※山田錦プロジェクトについて

河嶋:ある程度の基準となるデータを基にし、失敗したくないというのはありますが、

やはり2人で造り上げるという意味で、0ベースから造り上げて行きたかったというところですね。蓄積されたものではなく、自分たちの考えを表現したかったので。

―おお!なんかかっこいいですね! 財間さんも同じ気持ちで?

財間:そうですね、気持ちは同じですが、河嶋に引っ張られる感じで・・・笑 結果、凄く学びのある取り組みになったので良かったです。

河嶋:よくも悪くも挑戦しかしてないかな。(笑)

―米選びから酒母まで新しいものを取り入れた。そんな「挑戦の酒」ができあがっていかがでしょうか?

河嶋:雑味がない綺麗なお酒になりました。通常の39と比べると、やや甘めに感じます。

財間:僕はあまりお酒は普段飲まないのですが、穏やかな香りと口当たりで、美味しく飲むことが出来ました。お客様よりちょっとお先に瓶詰めしたお酒をもらえるので、酒好きな親戚に飲んでもらったのですが、普段日本酒を飲む人でもスイスイ美味しく飲めて、つい飲みすぎてしまったと言われました。

河嶋:僕も父に評価してもらいました。父は登龍門(旧:CRAFT獺祭)が出るたびに密かに買って飲んでいて。そんな父に、和食の食中酒、生物・煮物と合わせて飲みたい酒と言われました。合格点をもらえたので嬉しかったです。

(個人的にはエビチリと合わせて飲みたいなあ(笑))

メニューの開閉